JFEスチールがインドで方向性電磁鋼板製造能力を年間35万tへ拡張:工場ニュース
JFEスチールとJSW Steelは、持分比率50:50で設立した方向性電磁鋼板製造/販売会社のJSW JFE Electrical SteelとJSW JFE Electrical Steel Nashikの製造能力を大幅に拡張することを決定したと発表した。
JFEスチールとインドの戦略的アライアンスパートナーであるJSW Steel(JSW)は2025年8月4日、持分比率50:50で設立した方向性電磁鋼板製造/販売会社のJSW JFE Electrical Steel(以下、J2ES Vijayanagar拠点)とJSW JFE Electrical Steel Nashik(以下、J2ES Nashik拠点)の製造能力を大幅に拡張することを決定したと発表した。
JFEスチールとJSWは今回、両拠点の方向性電磁鋼板製造能力拡張に向け、約1200億円を投じる。2024年2月に行ったJ2ES Vijayanagar拠点の開設と2025年1月に実施したJ2ES Nashik拠点の買収と併せて、総額約2900億円の投資となる。今後、インド国内での競争力を一層強化し、急成長する方向性電磁鋼板のニーズを捉える考えだ。
方向性電磁鋼板の需要が急拡大するインド
今回の計画では、J2ES Vijayanagar拠点の製造能力を当初計画の2倍となる年間約10万トン(t)に増やし、J2ES Nashik拠点の製造能力を現在の年間約5万tから約25万tに引き上げる。両拠点の製造能力は合計で年間35万tに拡張される。
世界最大規模の人口を有しているインドでは、経済成長に伴う電力需要増加、再生可能エネルギー使用の拡大、変圧器の高効率化、データセンターの増加に伴い、方向性電磁鋼板の需要が急速に伸びており、その市場規模は大幅に拡大すると見込まれている。J2ES Vijayanagar拠点は当初計画通り2027年度中のフル生産開始を予定しており、J2ES Nashik拠点の拡張は2028年度から段階的に進め、2030年度での完了を見込んでいる。
JFEグループは、2035年の目指す姿「JFEビジョン2035」の中で、鉄鋼事業における第8次中期経営計画(2025〜2027年度)の柱として、海外成長地域でトップクラスのパートナーとともにインサイダー型事業の推進とさらなる深化を掲げ、4000億円規模の成長投資枠を設定した。今回の拡張投資はその第1弾と位置付けている。
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