伊藤忠が低炭素還元鉄の供給網構築に向けた協業の覚書を締結:脱炭素
伊藤忠商事は、JFEスチール、Emirates Steel Arkan、Abu Dhabi Ports Groupと、低炭素還元鉄の供給網構築に向けた協業に関する覚書を締結した。2025年10月から低炭素還元鉄の生産を開始し、アジア市場に供給する計画だ。
伊藤忠商事は2023年7月18日、JFEスチール、Emirates Steel Arkan、Abu Dhabi Ports Group(ADPG)と、低炭素還元鉄の供給網構築に向けた協業に関する覚書を締結したと発表した。
伊藤忠商事、JFEスチール、Emirates Steel Arkan(Emirates Steel)の3社は、2022年9月に、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビにおける同プロジェクトで事業化調査を共同で推進することに合意。これに今回、ADPGが新たに加わった。
同プロジェクトでは、低炭素還元鉄生産に必要な高品位鉄鉱石の安定調達と供給を伊藤忠商事が担い、UAEの鉄鋼最大手であるEmirates Steelが低炭素還元鉄を製造する。この低炭素還元鉄をJFEスチールが製鉄原料として用いることで、鉄鋼生産におけるCO2排出量の削減に取り組む。
鉄鉱石の還元工程で排出されるCO2は、油田へ圧入して処理し、将来的には電源の再生可能エネルギーへの切り替えや、水素還元法の導入も見込んでいる。2025年10月から低炭素還元鉄の生産を開始し、JFEスチールを中心としたアジア市場に供給する計画だ。
UAEの国営港湾管理および土地開発事業者であり、Emirates Steelの原料輸入を請け負うADPGと、港湾開発や土地のリース、関連のインフラ整備などについて合意したことにより、プロジェクトエリアの確保や、原材料購入、製品出荷における安定的な物流体制の構築を図る。
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