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製鋼スラグが「CO2の吸収材」に、革新的CO2固定技術の実証実験を開始:脱炭素
JFEスチールと愛媛大学は、鉄鋼生産の副産物である「製鋼スラグ」を活用し、高速かつ多量にCO2を固定する技術の実証試験を千葉地区で開始した。
JFEスチールは2025年9月25日、愛媛大学と共同で推進している「製鋼スラグの高速多量炭酸化による革新的CO2固定技術の研究開発」に関連する設備を建設し、実用化に向けた実証試験を開始したと発表した。
同実証試験を通じて、CO2固定につながる最適操業条件をはじめとした関連データを蓄積し、社会実装に向けた研究開発を加速させていく。
千葉地区で実証実験を実施
両者が開発を進めるCO2固定技術は、鉄鋼生産の副産物として生成する高温状態の製鋼スラグにCO2を吹き込む。これにより、製鋼スラグ中の酸化カルシウム成分に、短時間で多量のCO2が固定され、炭酸塩化する。加えて、高温状態の製鋼スラグから熱を回収することでエネルギー効率を高め、プロセス全体でのCO2固定量と削減量の最大化を図る。
今回の実証実験では、JFEスチール 東日本製鉄所の千葉地区(千葉市中央区)が有する凝固装置、熱間破砕装置、炭酸塩化兼熱回収装置から成る設備を用いて、CO2固定技術の検証を行う。具体的には、溶融スラグの凝固、熱間破砕、炭酸塩化兼熱回収の各プロセスにおける最適操業条件の確認や、同プロセスでの熱回収量、CO2削減効果の測定、社会実装に向けた課題分析などを実施する。
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