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PCマウス原理でエレベーターの“ロープ”不要に AI保守を見据える日立HMAX戦略イノベーションのレシピ(2/2 ページ)

日立製作所と日立ビルシステムが次世代エレベーター「アーバンエース HF Mirai」を発表。業界初の光学式センサーで物理ロープを廃止し、地震時の接触リスクを解消した。将来の保守無人化を見据える。

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2017年に開発開始、昇降路内の部品数は約半数に

日立ビルシステムの齊藤勇来氏
日立ビルシステムの齊藤勇来氏

 日立製作所と日立ビルシステムは、2017年からこの新たな検出方式の研究開発を開始した。しかし開発当初は、昇降路内に浮遊するほこりやガイドレールについた傷などがノイズとなり、正確な識別が難しかったという。

 日立ビルシステム 日本事業統括本部製品開発本部エレベーター制御開発部制御システム開発グループ 主任技師の齊藤勇来氏は、「日立グループ内で培った医療現場の光学計測技術や、ロボットの姿勢制御での画像処理技術を応用することで実現できた。われわれ開発者が胸を張って送り出すことができる、まさに集大成の製品だ」と語った。

 光学式センサーの導入により速度と位置の検出機能が集約されたことで、従来のガバナーやガバナーロープが不要となった。齊藤氏によると、昇降路内の部品数は約半数に減ったという。部品数の削減により、地震発生時などに、かごと部品が接触するリスクを根本から排除し、部品の保守/管理の手間軽減を実現した。

光学式センサーによる検出機能の説明
光学式センサーによる検出機能の説明[クリックで拡大] 出所:日立製作所

 また、センサーによって走行中の位置を常時、正確に検知できるようになったため、目的階に到着する際にドアが開く動作を早め、扉が全開になるまでの時間を短縮した。この技術と、従来の積載量に応じて走行速度を最適化する「可変速ドライブシステム」を組み合わせることで、エレベーターの1周(1階から最上階まで上がり再び1階まで戻る)にかかる運行時間を従来機と比較して約11%短縮した。

震度5強でも約12分で自動復旧

 災害対応の面では、遠隔知的診断装置「ヘリオス」の監視データを解析することで、機体の自己診断機能を高度化した。これまでは地震によってエレベーターが自動停止した場合、エンジニアが現地を巡回して復旧させる必要があった。アーバンエース HF Miraiでは、震度5強〜6弱の揺れで停止した場合でも、機器自らが異常の有無を自動で診断し、問題がなければ約12分で仮復旧/運転を再開できるようにした。

遠隔知的診断装置「ヘリオス」
遠隔知的診断装置「ヘリオス」[クリックで拡大] 出所:日立製作所

 この他、昨今需要が高まる「置き配」への対応として、配送業者の認証からエントランスのセキュリティ解除、エレベーターの呼び出しまでを自動連携し、居住者のスマートフォンへ通知する仕組みを備えた。かご内には12.1インチの液晶モニターを採用した。通常時はデジタルサイネージとしてニュースなどを配信し、非常時には管制センターと顔を見ながら対話できる双方向のビデオ通信システムとして機能する。

エレベーターの内側
エレベーターの内側[クリックで拡大]

「保守員が現場に行かない」AIロボットエレベーターの実現へ

 今後の開発に向けては、HMAX for Buildingsのコンセプトを中核にさらなる保全サービスの高度化を目指す。現在の点検作業におけるAI活用は、作業者が撮影した画像をAIや管理者が判定する仕組みにとどまっている。今後は、作業員が装着したウェアラブルカメラの映像をエッジAIがリアルタイムで解析し、スマートフォンの音声を通じて注意喚起を行うシステムの実現を目指す。

AIロボットエレベーターの実現を目指す
AIロボットエレベーターの実現を目指す[クリックで拡大]
日立製作所の高橋達法氏
日立製作所の高橋達法氏

 また、2030年度に向けて、ビルの自律運用を実現するソリューション「AIロボットエレベーター」の構築を進めていく。ドローンによる昇降路の自動点検やセンサーによる設備状態の常時点検、かご内カメラのエッジAIを用いた混雑時の自動通過判定、AIによる故障部品の予測などの開発を検討している。

 日立製作所 アーバンソリューション&サービスビジネスユニット ビルシステムソリューション&サービス事業統括本部日本事業統括本部長 兼 日立ビルシステム 常務取締役 日本事業統括本部長の高橋達法氏は、「最終的には保守員が現場に行かなくても維持管理ができる保守体制が理想だ。デジタル技術とインフラ技術の融合による、次世代のビルマネジメント事業を展開していく」と語った。

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