日立における「Lumada 3.0」と「HMAX」の定義とは、フィジカルAIが成長を後押し:製造マネジメントニュース(1/2 ページ)
日立製作所が2025年度連結業績を発表するとともに中期経営計画「Inspire 2027」の進捗状況について説明。2025年度連結業績で過去最高益を記録するなどInspire 2027の目標達成に向け期初の想定以上の進捗を見せた。
日立製作所(以下、日立)は2026年4月27日、オンラインで会見を開き、2025年度(2026年3月期)連結業績を発表するとともに中期経営計画「Inspire 2027」の進捗状況について説明した。
2025年度連結業績は、売上高が前年度比7%増の10兆5867億円、利益指標であるAdjusted EBITA率が同1.3ポイント増の12.4%、当期利益が同30%増の8023億円、コアFCF(フリーキャッシュフロー)が同50%増の1兆1702億円となった。同21%増の1兆3114億円となったAdjusted EBITAに加え、初めて8000億円を超えた当期利益、そしてコアFCFが過去最高を記録するなど、Inspire 2027の目標達成に向け期初の想定以上の進捗を見せた。
日立 代表執行役 執行役社長 兼 CEOの徳(正しい漢字は右側の心の上側に「一」が入る)永俊昭氏は「Inspire 2027の初年度に当たる2025年度は、米国関税の発動や世界各国での紛争発生など不確実性が極めて高い事業環境となった。このような中で、日立はLumada事業の拡大により売り上げ成長と収益性向上を両立することができた。特に、HMAXが本格始動するなど、急拡大するAI(人工知能)市場が日立の成長を加速した」と語る。
徳永氏がInspire 2027の目標達成に向けて重視しているのがデジタルソリューション群のLumadaと次世代ソリューション群のHMAXである。Inspire 2027の目標には、2024〜2027年度の売上高年平均成長率7〜9%に加えて、Adjusted EBITA率13〜15%が掲げられている。利益指標であるAdjusted EBITA率を2025年度の12.4%からさらに引き上げるために、他事業と比べてAdjusted EBITA率が高いLumada事業の売上高比率を50%まで高めるとともに、Lumada事業そのもののAdjusted EBITA率も18%に向上することも目標に織り込んでいる。そして、Lumada事業のAdjusted EBITA率向上に貢献するのがHMAXという建付けになっている。
徳永氏はLumadaとHMAXの関係性について改めて説明した。「2016年にローンチしたLumadaは、AIとドメインナレッジの活用によりLumada 3.0に進化した。ではLumada 3.0は何かというと、日立が注力している事業領域とその事業の基本的なモデルを示している。日立は現在、エナジー、モビリティ、インダストリー、デジタルの4つの事業に注力している。これら4つの事業がグローバルに展開するプロダクトやITシステムのインストールベースがデジタライズドアセットになる。デジタライズドアセットから稼働データを収集し、ドメインナレッジで強化したAIで分析して、経営課題や社会課題を解決する独自のデジタルサービスを提供していく。そして、これら価値あるデジタルサービスが、さらなるプロダクトの拡販や他社プロダクトまでを含めたデータ収集/解析につながり、よりいっそうデジタライズドアセットの拡大を加速する。これがLumada 3.0で目指している事業の基本的なモデルになる。そして、Lumada 3.0のデジタルサービスの代表例がHMAXだ。HMAXは、AIで社会インフラを革新する次世代ソリューション群であり、リカーリングサービスである」(同氏)。
2025年度のLumada事業は、売上高で前年度比46%増の4兆1000億円、売上高比率で同11ポイント増の40%、Adjusted EBITA率も同1ポイント増の16%となった。Inspire 2027の目標である売上高比率50%、Adjusted EBITA率18%の達成に向け順調に進捗している。この成長を支えているのが2025年度から本格始動したHMAXだ。2025年度のHMAX事業は売上高3000億円での滑り出しとなり、Adjusted EBITA率も20%を超えている。
HMAXは、エナジー、モビリティ、CI(コネクティブインダストリーズ)の3セクターで適用実績が拡大しており、今後さらなる成長が期待できるという。エナジーセクターの「HMAX Energy」は電力系統の安定化という価値を複数の電力会社の顧客に適用しているという。HMAXのコンセプトの先駆けとなったモビリティセクターの「HMAX Mobility」は進化を続けており、他社製車両のデータを活用しながら運用効率向上という価値を顧客である鉄道会社にもたらしている。CIセクターの「HMAX Industry」では、熟練技能を再現するだけでなく、自律的進化によって継続的に向上できることを実証したとする。
このHMAXの成長の追い風となっているのが、AIエージェントとフィジカルAIによって拡大するAI市場である。徳永氏は「自律的に判断/実行するAIエージェントと、物理的な世界に働きかけるフィジカルAIがともに進化を続けており、市場規模は2030年に100兆円を超えるといわれている。このAI市場は日立にとってかつてない大きな機会をもたらすと考えている。なぜなら、さまざまなデータを収集し、AIで分析して、物理的な世界に働きかけるフィジカルAIは、Lumada 3.0が目指している事業そのものであり、AIの進化が日立の成長を後押しすると考えているからだ」と強調する。
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