ごみから「国産ナフサ」、製造プロジェクト加速:リサイクルニュース
エナウムは、使用済みプラスチックなどの廃棄物から、化学産業の基幹原料である「ナフサ」を生産するプロジェクトを加速している。
エナウムは2026年5月19日、廃棄物からナフサを製造する「WTE(Waste-to-Energy)システム活用プロジェクト」において、共同開発/出資パートナーとなる企業/投資家を募集すると発表した。募集する協業パートナーは、FT合成触媒/精製技術の専門機関と大学や石油化学/化学メーカー、廃棄物処理/産業廃棄物リサイクル会社、商社、エネルギー会社、ベンチャーキャピタルなどとなる。
同プロジェクトでは、特許取得済みの二段ガス化システムとFT(フィッシャートロプシュ)合成を組み合わせたWTEシステムを活用することで、使用済みプラスチックや都市ごみなどの廃棄物から化学産業の基幹原料であるナフサを国産化し、輸入依存という日本の構造的リスクを解消するという。
廃棄物処理手数料(ゲートフィー)により原料コストがマイナスからスタートする「ダブルインカムモデル」により、原油価格/円安リスクから切り離された事業構造を実現する考えだ。
ASF分布を制御する触媒の共同開発パートナーを募集
プラスチックや合成繊維、塗料、医薬品といった化学製品の起点となるナフサは、日本が消費する量のほぼ全量を輸入に依存している。この状況は、中東情勢や石油輸出国機構(OPEC)政策、為替変動といった複合的なリスクがあると指摘されている。
一方、日本国内では年間約3800万トンの一般廃棄物が廃棄されていることに加え、それを上回る産業廃棄物が毎年排出されている。使用済みプラスチックをはじめとする有機系廃棄物の多くは依然として埋め立て/単純焼却に頼っており、ケミカルリサイクルの実用化が国策として急務となっている。
そこで、エナウムはWTEシステムにより廃棄物からナフサを製造する取り組みを進めている。WTEシステムは、第2段階のガス化炉に電気炉を採用しており、炉内温度を1000℃以上に精密制御できる他、廃棄物の組成が変動しても炉内環境を均一に保ち、安定的に生成ガスを生産可能だ。
加えて、水性ガス反応において、水蒸気そのものが水素供給源となる。これにより、空気を使わないため窒素の混入がなく、生成ガスの純度を高められる。さらに、従来炉の課題であったタール含有量を13〜14mg/Nm3に抑えられる。窒素混入は5%未満、水素と一酸化炭素の比率は2:1というFT合成の黄金比を直接実現する。
同システムは、使用済みのプラスチックやタイヤ、食品残渣など、炭素を豊富に含む有機系廃棄物は全て高純度の合成ガスへ変換できる。金属やガラスなどの無機物が混入していても、最終的に無害なスラグとして排出されるため、事前の精緻な分別コストを減らせる。このスラグは路盤材などへ再利用可能だ。
同システムで生産された合成ガスは、ナフサやSAF(持続可能な航空燃料)、水素、メタノールなどの多様な化学品へ変換できる。現在、炭素数がC10〜C16のSAFや炭素数がC5〜C12のナフサの選択的製造を実現するため、ASF(アンダーソン・シュルツ・フローリー)分布を制御する触媒の最適化が必要となっている。WTEシステム活用プロジェクトでは、この触媒の共同開発を担うパートナーも求めているという。
なお、同社は徳島県内の拠点に設置したWTEシステムの実証設備で30時間連続運転を達成し、製造されたバイオマス液体化(BTL)燃料は国の長期検証試験において軽油相当の性能が確認されている。
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