微小重力下での細胞解析に向け、生細胞観察装置がISSへ打ち上げ:医療機器ニュース
ニコンとNikon Instrumentsが開発した生細胞観察装置が、商業補給サービス「NG-24」ミッションに搭載され、国際宇宙ステーションへ打ち上げられた。細胞の挙動や生体組織の薬剤反応を解析可能な装置の開発を主眼とする。
ニコンは2026年4月7日、米国子会社のNikon Instruments(NII)と共同開発した生細胞観察装置が、Center for the Advancement of Science in Space(CASIS)の支援を受けた「ライフサイエンスおよび創薬分野における微小重力の影響に関する研究」に採択されたと発表した。米国航空宇宙局(NASA)との契約に基づく商業補給サービス「NG-24」ミッションに搭載され、同月11日(現地時間)に打ち上げられた。
CASISは、国際宇宙ステーション(ISS)内で米国国立研究所を運営する機関だ。米国航空宇宙局(NASA)とは、協定関係にある。今回のプロジェクトは、ISS実験棟の限られた空間で、長期的かつ視覚的に細胞の挙動や生体組織の薬剤反応を解析可能な装置の開発を主眼とする。プロジェクトの運営はNIIが行い、生細胞観察装置の開発はニコンとNIIが担当する。
ISSでは、ニコンの生細胞観察装置に、BioServe Space Technologies(BioServe)が開発した細胞培養インキュベーターと培地灌流システムを組み合わせたシステム「Nikon Experimentation Microscope in Orbit(NEMO)」を使用。生体内を模した環境で3D培養するMicrophysiological Systems(MPS)を用いた観察を実施する。ニコンの生細胞観察装置が顕微鏡の役割を担い、微小重力が生体に与える影響を高精度に評価、解析する。
重力が生体組織へ与える影響を解明することは、人類の地球外活動を加速させるほか、老化現象や疾患の原因解明にもつながる可能性がある。宇宙空間での細胞や組織の培養、維持、観察に使用する顕微鏡システムの運用検証を実施することで、創薬分野の微小重力の影響に関する研究に貢献する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
月面を照らす「光の物差し」 JAXAとカシオが可視光測位技術を実証
カシオ計算機とJAXAは、GNSS未整備の月面で活用可能な測位システム「picalico」の実証実験を行った。新たに白色の一般照明を測位に併用する新手法を公開。2030年代の月面基地建設への貢献を目指す。
将来宇宙輸送システムが「次世代宇宙港」構想を発表、想定投資額は2.5兆円
将来宇宙輸送システムが18社1大学と「次世代宇宙港」構想を発表。陸上拠点と洋上発射拠点を組み合わせた「多機能複合拠点」構想で、総投資額は2.5兆円と試算。2040年代の実現を目指す。
にわかに盛り上がってきた「ロケット発射&回収船」って何?
「船」や「港湾施設」を主役として、それらに採用されているデジタル技術にも焦点を当てて展開する本連載。第5回は、日本郵船と商船三井が相次いで記者説明会を開いた「ロケット発射&回収船」と、その実現に求められる技術的条件に迫る。
宇宙関連機器の世界市場は2050年に78兆円へ、2024年の約4.5倍に
矢野経済研究所は、宇宙関連機器の世界市場に関する調査結果を発表した。2050年の市場は78兆円規模に達するとの予測を示しており、今後も世界全体で研究開発が進むとみられる。
ホンダは宇宙へ、離着陸実験成功の「サステナブルロケット」実機を披露
ホンダはジャパンモビリティショー2025で、2025年6月に離着陸実験に成功した「サステナブルロケット」の実機を公開した。再使用型機体と再生可能燃料で持続可能な宇宙輸送を目指す。【訂正あり】
54兆円規模の宇宙市場に参入へ 古河電工と東大が実証衛星「ふなで」を打ち上げ
古河電気工業と東京大学大学院工学系研究科は、実証実験衛星「ふなで」を2026年10月に打ち上げると発表した。この打ち上げを通じて、古河電工製人工衛星用コンポーネントの軌道実証と、東京大学が研究しているフォーメーションフライトの基礎運用実証を進める。
