将来宇宙輸送システムが「次世代宇宙港」構想を発表、想定投資額は2.5兆円:宇宙開発(1/2 ページ)
将来宇宙輸送システムが18社1大学と「次世代宇宙港」構想を発表。陸上拠点と洋上発射拠点を組み合わせた「多機能複合拠点」構想で、総投資額は2.5兆円と試算。2040年代の実現を目指す。
将来宇宙輸送システム(以下、ISC)は2025年10月31日、宇宙ビジネスイベント「NIHONBASHI SPACE WEEK 2025」(2025年10月28日〜31日、東京・日本橋)において、2040年代の実現を目指す高頻度宇宙輸送を支える「次世代宇宙港(New Space Port)」の構想を発表した。
報告会では、次世代宇宙港の構想を盛り込んだ、2300分の1スケールの模型も展示した。
ISCは宇宙輸送システムの実現を目指し、2022年5月に創業したスタートアップ企業である。同社は「毎日、人や貨物が届けられる世界。そんな当たり前を、宇宙でも。」のビジョンの下、文部科学省SBIRフェーズ3事業「民間ロケットの開発・実証」の採択を受けて、「ASCA(アスカ)」と呼ぶ再使用型ロケットの開発や、2028年3月までの人工衛星打上げ実証に向けた研究開発に取り組んでいる。
同社の最終目標が、2040年代に「完全再使用型の単段式宇宙往還機(SSTO)」を用いた高頻度宇宙輸送を行うことだ。報告会に登壇した同社代表取締役社長の畑田浩司氏は、「2040年代には、海外旅行に行くようなコスト感で、宇宙を経由してどこでも行ける世界を実現したい」と展望を語る。
初期投資額2.5兆円を見込む「多機能複合拠点」
この完全再使用型ロケットによる高頻度輸送を支えるインフラ拠点として、次世代宇宙港の構想を発表した。ISCは2024年8月に、次世代型宇宙港のワーキンググループを発足し、18社/1大学とともに議論を実施してきた。
次世代宇宙港の主要構成要素として、「陸上拠点」と「洋上拠点」の2つを設定した。陸上拠点では、ロケットの整備や燃料運用、乗客ターミナルに加え、宿泊、教育、商業機能なども持つ大規模なエリアを想定している。敷地面積は約200万m2と、東京ディズニーリゾートとほぼ同規模になるという。
一方の洋上拠点では、ロケットの打ち上げ/着陸を行う船型の発射拠点や、乗客が搭乗直前まで滞在できる拠点船の設置を構想している。敷地面積は、ロケットの滑走路なども入るため推測が難しいというが、大まかには陸上拠点を上回る約300万m2ほどになるという。
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