40量子ビット超の量子化学用量子回路シミュレーションに成功:マテリアルズインフォマティクス
フィックスターズは、40量子ビットを超える、大規模GPUクラスタ向け量子化学用量子回路シミュレーターを開発した。実証実験で、状態ベクトル型シミュレーターとして、世界最大の問題サイズと量子回路サイズのシミュレーション実行に成功した。
フィックスターズと大阪大学は2026年3月12日、40量子ビットを超える、大規模GPUクラスタ向け量子化学用量子回路シミュレーターを開発したと発表した。実証実験で、状態ベクトル型シミュレーターとして、世界最大の問題サイズと量子回路サイズのシミュレーション実行に成功した。
現在の計算機上で量子アルゴリズムを事前検証できる分子の範囲が拡大
創薬分野における未解決課題の克服や、気候変動対策に資する新材料開発など、地球規模の難題を解決するためには、現行技術の限界を超えた高度な量子化学計算が必要だ。このような背景のもと、誤り耐性量子コンピュータ(FTQC)の実用化が期待されている。このFTQCで動作する量子アルゴリズムをあらかじめ開発/検証しておくことが、量子コンピュータの実用化を早めるために重要と考えられている。
中でも量子位相推定法(QPE)は、多くの量子アルゴリズムのサブルーチンとして用いられ、量子化学においても、現行の古典コンピュータでは困難な解析を可能にするものとして期待されている。
そこで、今回の研究グループは、量子化学用量子計算シミュレーター「chemqulacs-gpu」に反復的量子位相推定法(IQPE)を実装し、大規模GPUクラスタの計算性能を最大限に引き出す並列計算技術を開発した。そして、量子化学向けの状態ベクトル型シミュレーションとして先行研究の最大規模であった40量子ビットを超える量子回路シミュレーションに成功した。
同研究成果は、先行研究の課題だった40量子ビットの壁を突破し、現在の計算機(大規模GPUクラスタなど)上で量子アルゴリズムを事前検証できる分子の範囲が広がった。量子コンピュータ実機の開発と並行して、より複雑で現実的な分子を対象とした量子アルゴリズムの開発と改良ができ、実機の実用化後に速やかな産業利用への展開が期待できる。特に、IQPEは早期誤り耐性量子コンピュータとの親和性の高いアルゴリズムであるため、量子化学計算の実用化に向けた重要な一歩となった。
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