デンソーが新中計「CORE 2030」を発表、3本柱の成長戦略で営業利益率10%必達へ:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
デンソーが2026〜2030年度の中期経営計画「CORE 2030」について説明。「商品づくりの強化」「モノづくりの革新」「人づくり・パートナー協創」という3本柱の成長戦略に基づき、2030年度に売上高8兆円以上、営業利益率10%以上、ROE11%以上などの目標達成を目指す。
走行中無線給電の実用化を推進、ローム出資は「広く可能性を排除しない」
第3の柱の「人づくり・パートナー協創」の施策は、モビリティ領域の新たな競争モデル、拡大貢献領域でのパートナー連携、人づくりの3つに分けられる。
今回、モビリティ領域の新たな競争モデルの代表例として紹介したのが、DWPT(走行中無線給電システム)だ。「DWPTはモビリティに新たな価値を生み出すが、デンソー単独で実現できるものではない。そこで、顧客、パートナー、業界団体/政府などさまざまな関係者をつなぐ存在となり、時には先頭に立つことで課題解決に取り組みたい」(林氏)という。
なお、DWPTを実用化できれば、EV(電気自動車)に搭載する電池サイズを10分の1にすることも可能である。デンソーは2025年に、社内の試験用走行路を用いてDWPTによる500kmの周回試験を完了しており、2026年度には網走テストセンターで高速走行などを行いより実走行に近い環境での試験を行う予定だ。2027年度には実証試験向けなどのシステムを提供できる用意を整え、2029年度には量産システムとして市場投入が可能な状態になるとしている。
新事業に位置付ける拡大貢献領域では、モビリティ領域で培った技術の横展開をパートナー連携によって広げていく方針だ。
FAでは、産業用ロボットを手掛けるデンソーウェーブなどを中核に総合ラインビルダーへの移行を進め、売り上げ規模を2025年度の800億円の3.75倍に当たる3000億円まで伸ばす。この売り上げ拡大によって、1.9万人相当のモノづくりの人手不足解消に貢献できるとしている。売り上げ拡大に向けた道筋としては、生産物流、IoT(モノのインターネット)、AI関連で連続的なM&Aを図り、FAの事業基盤を確立。そこから事業領域と商材を拡大し、2035年度に売り上げ規模5000億円を目指す構えだ。
農業でも、モビリティ技術にパートナー協創を掛け合わせ、農業を工業化することで食の安定生産に貢献する。組織面では、農業大国で知られるオランダに事業本部を移管するなどして事業推進のスピードを加速する。2025年度の売り上げ規模300億円に対して、農薬/肥料、育苗など事業分野を拡大するための連続的なM&Aを行い、2030年度に売り上げ規模1000億円を目指す。この時点で、農作業の生産性を75%向上させるとしている。その後、栽培デジタルプラットフォームの構築によって、2035年度は売り上げ規模2000億円超を目標とする。
半導体については、デンソーの車載向けの技術を産業機器、民生機器の領域へ広げることが基本方針となる。この領域でのM&A戦略については、デンソーがロームに出資提案している一方で、ロームは東芝、三菱電機との事業統合の検討を発表するなど状況は確定していない。
林氏は「ロームとのシナジーは大きいと考えている。当社には次世代のSiC(シリコンカーバイド)技術が、ロームには省電力や300mmウエハーに関する技術がある。また、ロームの半導体メーカーとしてのネットワークはデンソーにはないものだ。モノづくりの考え方にも親和性がある。今後どうなるかは何とも言えないが、車載や民生機器、産業機器のボーダーを超えて価値を高めることが日本の半導体産業の強化につながるのではないか。広く可能性を排除せず、柔軟、的確、スピーディーに考えていきたい」とコメントしている。
また、人づくりでは、デンソーが顧客や社会から得た信頼と共感を、新たな価値創出に向けた挑戦につなげる循環を回せる体制を整える。林氏は「成長の原動力は人であり、社員の挑戦を後押しする。AIや半導体などの先端人材の獲得も進める」と述べている。
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