製造業DXに貢献するXRグラス「MiRZA」とは何か NTTグループが描くXRデバイス戦略:メカ設計インタビュー(3/3 ページ)
NTTコノキューデバイスは、企画から生産まで全て国内で手掛けるXRグラス「MiRZA(ミルザ)」を展開し、製造業をはじめとしたさまざまな業界の課題解決に貢献している。本稿では同社が展開するMiRZAに焦点を当てて紹介する。
産業インフラとして機能するMiRZAの法人向けソリューション
今後の日本では人材不足が深刻化していき、技術継承や安全教育への対応が難しくなっていくと予測されている。このような課題に対して、XRコンテンツは技術継承と安全教育の観点で、実験的導入の段階から業務効率向上や労働環境を維持するための“産業的なインフラ”として定着していく可能性が高い。
経済産業省が公表している「ものづくり白書2025」によると、製造業の約85.3%が能力開発/人材育成に問題があると回答している。製造業に従事する年齢層を見てみると、45歳以上が約53%と、業界として高齢化が進んでいる。技術者の高齢化が進んで熟練作業者が引退していくことで、現場対応力の低下や残業の増加、有事の際の迅速な対応が困難になるといった問題が製造業では浮き彫りになっている。
これらの製造業の課題を解消するために、NTTコノキューデバイスはMiRZAを活用してリアルの現場をサポートする「NTT XR Real Support」を展開している。同取り組みは、現場作業の効率化とデータ化を推進し、DXが実現可能な作業支援ソリューションである。
MiRZAを活用することで、現場作業者は作業指示やマニュアルなどの必要情報を任意の仮想空間に配置できる。これにより、ハンズフリーで視覚的な情報支援が行える。隣に人がいるような感覚で作業支援が可能なため、指導者は作業現場に移動できないという状況でも遠隔でサポートできる。また、作業記録を残してアーカイブ化でき、技術継承にも生かせる。
持田氏は「現場で一人一人を教育するのが難しくなっている中で、MiRZAを通じてちょっとした技術/作業のコツを熟練作業者などに遠隔で確認できる。眼鏡型のデバイスはハンズフリーになるという最大のメリットがあり、両手をふさぐことなく遠隔操作をしたいという顧客から選ばれている」と語る。
実際にMiRZAの販売を開始してからは、エンタメ業界や官公庁、製造業などさまざまな業界から声がかかっており、特に製造や設備保守の領域での相談が多いという。教育系の用途に関しては、業界を問わず需要が増えている。持田氏は「法人現場においては、6DoF対応の高性能で常用できる軽さかつ、ケーブルレスで現場でも安全に立ち回れる点はMiRZAの強みになっている」と述べている。
今後について、NTTコノキューデバイスはこれまで得てきた知見を生かして、B2Bの市場で社会課題を解決するデバイスとして地位を確立することを目指し、さまざまな領域へMiRZAを展開していく。
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