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空間全体から素材を生み出す「逆算のモノづくり」 LIXILが新ブランド戦略を発表製造マネジメントニュース

LIXILは2026年半ばから本格展開する新ブランド戦略を発表。空間全体から製品をデザインする「逆算のモノづくり」を強みにする。部門間連携で挑む製造アプローチについても聞いた。

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 LIXILは2026年3月25日、東京都品川区の大崎本社で新ブランド戦略の発表会「LIXIL Exclusive Brand Preview」を開催した。6月より本格展開を開始する新ブランドコンセプトの初披露に加えて、ブランドの世界観を体現する空間展示を行った。本稿では新ブランドの全容とともに、LIXILが製品開発で実践している「空間設計を起点とした製造手法」についても紹介する。

 LIXILは現在、トイレや浴室などの水回り設備を扱う「ウォーターテクノロジー事業」、窓や玄関ドアなどを扱う「ハウジングテクノロジー事業」、システムキッチンやインテリア建材を扱う「リビング事業」の3つをコア事業として展開している。

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2026年3月期第3四半期の業績概況[クリックで拡大] 出所:LIXIL

 直近の2026年3月期第3四半期(連結累計期間)の業績を見ると、売上収益は前年同期比0.2%減の1兆1385億円となったものの、事業利益は同17.5%増の365億円を確保した。国内では新築需要の低迷が続いているが、リフォーム向け需要は堅調に推移している。特にウォーターテクノロジー事業では、価格改定の浸透と国内外でのリフォーム向け販売の増加によって事業利益が22.5%増となり、全体の増益に貢献した。

製品単体の「点」から空間全体の「面」によるソリューションへ

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新ブランドスローガンを掲げた。(左から)編集者 ライターの山田泰巨氏、建築家の大西麻貴氏、建築家の高濱史子氏、LIXIL 常務役員 Design&Brand Japanの羽賀豊氏[クリックで拡大] 出所:LIXIL

 LIXILは今回、3事業全てを包括する全社的なブランド戦略の刷新を発表した。新たなブランドスローガンには「愛すべき日常をつくろう。」を掲げる。LIXILが持つ多様な商品カテゴリーの強みを生かし、家族構成やライフスタイルと、朝昼夜や四季といった移りゆく時間を掛け合わせた柔軟な空間ソリューションを提案する方針だ。空間設計においては、家族のつながりを感じつつも、現代でニーズが高いパーソナルスペースの確保を両立させることを重要視している。

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2026年2月に発表したデザインスタイルの「COMFORT GRAIN」[クリックで拡大] 出所:LIXIL

 デザインスタイルは、2026年2月に発表したコーディネートの「COMFORT GRAIN(コンフォートグレイン)」をベースとしている。COMFORT GRAINは、地球環境と居住者が共生する暮らしの世界観を演出するもので、ナチュラル志向の高級感を付与したインテリア建材「GS」シリーズなどの展開を予定している。具体的な製品群としては、クローザー機能付きの隠し丁番を採用して開閉機構を視界から完全に排除したフルフラットドアや、取り付け用のフレームを必要としないフレームレスガラスなど。2026年春より順次展開予定だ。

 LIXILの久保克典氏
LIXILの久保克典氏

 LIXIL Design&Brand Japan ブランド&マーケティングストラテジー リーダーの久保克典氏は、「豊富な製品を取り扱うLIXILだからこそ実現できる価値だと考えている。製品単体を点で提供するのではなく、周辺を含めた空間全体として捉えることで、日本の住体験の質向上に貢献したい」と語った。新ブランド戦略は、2026年3月31日にブランドサイトの公開を開始し、同年6月よりブランド浸透施策を本格的に開始予定だ。

技術部門と連携し、空間全体から逆算したデザイン作り

 LIXILのデザインと製造プロセスにおいて特徴的なのは、製品単体の開発にとどまらず、空間全体から逆算したアプローチを採用している点である。1つの空間コーディネートを作り上げる際は形状のデザインだけでなく、CMF(Color、Material、Finishing:色、素材、仕上げ)の組み合わせを追求している。LIXIL 常務役員 Design&Brand Japanの羽賀豊氏は、「一般的なモノづくりでは、商品が完成してから空間との組み合わせを考えることが多い。LIXILでは製品を作る前の段階でまず『全体の空間』を設計している。そこから逆算してどのような素材が必要になるかを吟味し、その要件に基づいてゼロから素材を作り始める」と語る。

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説明会場での特別空間展示[クリックで拡大] 出所:LIXIL
LIXILの羽賀豊氏
LIXILの羽賀豊氏

 このプロセスにおいて重要なのが、デザイン部門と技術/製造部門との密接な連携だ。空間の意匠やテーマ設定、色、光沢、木目などの細かな仕上げはデザイナーが主導するものの、技術/製造部門も加わり、量産性や実現可能性も含めて議論を交わす。羽賀氏によれば、「時には技術部門側から『新しい製造手法があるからデザインに生かしてみてはどうか』といった提案が持ち込まれ、それをベースに新たなデザインが創出されることもある」という。今回の新ブランドにおいても、素材から受けるインスピレーションの展開と、製品デザインへの落とし込みを同時並行で進め、デザインと製造が一体となった開発アプローチを採った。

相反する性能のトレードオフを技術で乗り越える

 説明会後半で行ったトークセッションでは、LIXILの羽賀氏、建築家の大西麻貴氏と高濱史子氏、モデレーターとして編集者 ライターの山田泰巨氏が登壇し、これからの空間設計やモノづくりの在り方について議論を交わした。

 コンシューマーの意識変化への対応について問われた羽賀氏は、「外の風景とのつながりを求めて窓を大きくしたいという意匠面の要望と、断熱性などの環境性能は、ある種相反する要素となる。メーカーとしてはトレードオフの課題をいかに技術で両立させるかが重要だ」と指摘する。さらに、画一的な製品から「自分らしい家づくり」へと顧客ニーズが変化している点にも触れ、LIXILが持つ多様な建材ラインアップを駆使し、個々のライフスタイルに寄り添う柔軟なソリューション提案で対応していく姿勢を示した。

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