サプライチェーンは「オーケストレーション」へ、変化に即応するために必要なもの:製造マネジメント インタビュー(2/2 ページ)
サプライチェーンはマネジメントからオーケストレーションへ――。その重要性とOpen Textの取り組みについて、同社の日本法人であるオープンテキスト ソリューションコンサルティング統括本部 ビジネスネットワーク本部 本部長の深井麻紀子氏と同 ソリューションコンサルタントの網崎優樹氏に話を聞いた。
サプライチェーン基盤向けのオープンテキストのサービス
オープンテキストでは、これらのサプライチェーンオーケストレーションプラットフォームとして最適なサービスを展開している。EDI(電子データ交換)アウトソーシングサービスなどを中心に、統合的情報管理ソリューションを展開し、企業間取引におけるデータ基盤構築で多くの実績を持つ。
この企業間データ基盤として多くの実績を持ち、サプライチェーンオーケストレーション基盤としての活用が進んでいるのがB2B取引先管理および統合プラットフォーム「Trading Grid」だ。Trading Gridは、接続社数100万社以上で、年間310億件規模のB2Bにおけるトランザクション処理を行っている。
「オープンテキストの環境と結ぶことで、国内外のあらゆる取引先とデータ連携が可能となる。すでに100万社以上が接続しており、その環境をそのまま生かすこともできる。企業間のデータ連携の障壁となる業界独自のフォーマットや通信プロトコルの違い、商習慣、言語の壁、時差の影響などについてもこの統合基盤を生かすことで吸収できる」と深井氏は説明する。さらに、EDIという構造化データをベースとしているため、AI時代に向けた学習データ基盤としての活用についても容易に行え、回答精度を高めることにも使えるという。
これらのデータ基盤を活用するソリューションとして「Trading Grid Command Center」なども紹介する。AIを活用したサプライチェーンに関するインサイトに基づき、複雑な各レイヤーのデータを組み合わせて、最適な形で表示する。
Trading Grid Command CenterをVR(仮想現実)で表現することなども可能だ。デモでは、サプライチェーン全体を俯瞰できる未来のコマンドセンターとして、工場や取引先を地球上の地図にマッピングして全体感を直感的に閲覧できる様子を示していた。「Open TextのAIである『Aviator』に対して『過去3カ月のトランザクションの中でエラーレートが1%以上のものを抽出して』と自然言語で指示をすると、複数の情報ソースを組み合わせて求めるデータを抽出し、地図上に可視化することなどが可能だ」と網崎氏は説明する。
Trading Grid Command CenterのVRデモの様子。情報ダッシュボードの表示と、AIを活用したインサイト抽出などを自然言語の指示で行うことも可能だ[クリックで拡大] 出所:オープンテキスト
サプライチェーンオーケストレーションを進めていくコツについて、深井氏は「各社でそれぞれの組織のデータ成熟度を正直に評価すること」を挙げる。「各組織で成熟度の違いがあるからこそ、データ活用のサイロ化が生まれ、個別最適化が進む。この差を無視して進めると頓挫しやすい。これらの差を理解しつつ、各部門で負荷を小さく進めるためには、インフラ層で現場が意識しなくてもデータを流せる仕組みが最適だ」と深井氏は語っている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
なぜ業界固有業務でのAI活用がうまくいかないのか、重要な「文脈」の存在
業界固有業務ではAI活用の適用に苦しむ企業が多いが、その中で業界特化型AIエージェントの展開を発表したインフォアはどのような勝算を描いているのだろうか。インフォアジャパン ソリューションコンサルティング本部長の佐藤幸樹氏に話を聞いた。
変わらねばならない製造業のSCM 「戦略」「組織」「人材」の抜本的見直しを
さまざまな企業課題に対応すべく、サプライチェーンマネジメント(SCM)のカバー領域や求められる機能も変化している。本連載では、経営の意思を反映したSCMを実現する大方針たる「SCM戦略」と、それを企画/推進する「SCM戦略組織」、これらを支える「SCM人材」の要件とその育成の在り方を提案する。
AIはSCMシステムに何をもたらすのか
サプライチェーンの問題に多くの製造業が振り回される中、SCMシステムでもさらなる進化が求められている。そのカギを握るポイントの1つであるAIについて、Blue Yonder 最高イノベーション責任者のアンドレア・モーガン-ヴァンドーム氏に話を聞いた。
規制対応で終わるな、2026年CLO義務化を武器に変える「勝つSCM戦略」とは
MONOistが開催したセミナー「サプライチェーンセミナー 2025 秋〜強靭かつ持続可能なモノづくりへ〜」において、ローランド・ベルガー パートナーの小野塚征志氏が登壇した。本稿ではその内容の一部を紹介する。
SCMの勝敗を分けるのは「データ量」、パナソニック コネクトが描く先行者利益
パナソニック コネクトは、「Panasonic Group IR Day 2025」における発表をフォローする合同取材に応じ、SCM(サプライチェーンマネジメント)ソフトウェアの動向についての説明や、2026年3月にCEOを退任するパナソニック コネクト プレジデントの樋口泰行氏の今までの振り返りなどを行った。
特定荷主の7割強がCLO選任へ、選任理由は「関係部門を巻き込む力」が最多
Hacobuは、特定荷主におけるCLOの設置状況に関する調査結果を発表した。7割強が選任へ動くなど、多くの企業が対応を急いでいる段階にあることが分かった。


