軌道上で民生GPUの機能確認を完了、従来比約1000倍の演算が可能:宇宙開発
三菱電機は、宇宙空間で民生品のGPUを活用するための実証機「GEMINI」を開発し、軌道上での初期機能確認を完了した。従来の宇宙用プロセッサと比較して約1000倍の演算速度で、衛星内での高度なデータ処理を可能にする。
三菱電機は2026年3月5日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小型実証衛星4号機「RAISE-4」に搭載された民生GPU実証機「GEMINI」について、軌道上での初期機能確認を完了したと発表した。
GEMINIは、民生品のGPUを用いて観測データのオンボード処理を実証する機器で、2025年12月14日に打ち上げられた。従来の宇宙用プロセッサと比較して約1000倍の演算速度を実現し、衛星内での高度なデータ処理を可能にする。今回の確認では、所定の処理が正常に動作し、合成開口レーダー(SAR)衛星の画像再生や光学画像からの地表面変化と物体の自動検出に成功した。
近年、地球観測衛星のデータ取得量が増加しており、地上への伝送や処理にかかる時間の短縮が課題となっている。これに対し、衛星自身でデータを処理するオンボード処理が注目されているが、宇宙環境の放射線や振動、温度変化により、GPUなどの高性能な民生品は故障リスクが高い。三菱電機は、宇宙開発で培った知見に基づき、民生品モジュールの部品を変更せずに過酷な環境へ耐えうる筐体設計を採用することで、この課題を解決した。
GEMINIは、外形寸法143×143×45mm、質量0.7kgで、消費電力は約10Wに抑えられている。システムにはファイルシステム方式を導入しており、地上からの指示によって軌道上で安全かつ容易にソフトウェアを更新できる。これにより、機能を柔軟に変更可能なSoftware Defined Satellite(SDS)の基盤技術としての有効性も検証する。
今後は、1年間の定常運用を通じて放射線などの宇宙環境がハードウェアやソフトウェアに与える影響を評価し、動作実績を蓄積する。同社は、民生品の活用による衛星の高機能化を推進し、各衛星や宇宙機プログラムへの採用を提案していく方針だ。
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