宇宙用途向け耐放射線FPGAが欧州の宇宙用部品規格の認定を取得:組み込み開発ニュース
NanoXplore(ナノエクスプロア)とSTMicroelectronics(STマイクロ)は、両社が開発した耐放射線SoC FPGA「NG-ULTRA」が、欧州の宇宙用部品規格「ESCC 9030」の認定を取得したと発表した。高い性能と軽量、低コストを両立させている。
NanoXplore(ナノエクスプロア)とSTMicroelectronics(STマイクロ)は2026年1月27日(現地時間)、宇宙アプリケーション用に設計された耐放射線SoC(System on Chip) FPGAである「NG-ULTRA」が、欧州の宇宙用部品規格「ESCC 9030」の認定を取得したと発表した。
ESCC 9030は有機基板やプラスチックパッケージにフリップチップ実装された高性能ICに関する新規格で、NG-ULTRAは同規格を初めて取得した製品となる。
宇宙空間で使用されるデジタル機器には、優れた演算能力に加え、低消費電力化と低コスト化が求められている。従来、宇宙用部品で主流だったセラミックパッケージは、重量とコストの高さが課題だったが、NG-ULTRAはプラスチックパッケージの採用により、高い信頼性と軽量、低コストを両立させている。大規模化が進む地球低軌道や中軌道での衛星コンステレーションに適していることから、ガリレオやコペルニクスといった重要ミッションへの採用が見込まれている。
技術面では、STマイクロの28nm FD-SOIプロセスで製造し、クアッドコアのArm Cortex-R52シリーズと537k LUTs、容量32MビットのRAMを1チップに集積した。吸収放射線量(TID)耐性が最大50krad(Si)と長寿命で、シングルイベントラッチアップ(SEL)耐性は最大65MeV・cm2/mg、シングルイベントアップセット(SEU)耐性は60MeV・cm2/mg以上と、破壊やデータ変化に対する耐性が高い。
また、SRAMベースのアーキテクチャにより、軌道上で無制限に再設定ができるなど拡張性に優れる。これにより、打ち上げ後の機能アップデートや通信規格の進化など、将来的な変更にも対応できる。
NG-ULTRAは、設計から製造、テスト、供給までを、STが有するEU域内のサプライチェーンで完結している。両社は特定の国への依存を軽減し、戦略的なサプライチェーンを確立することで、自律的な宇宙開発と衛星システムの競争力強化を目指す。
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