ルネサスが「Renesas 365」を提供開始、電子機器の開発期間を大幅短縮:組み込み開発ニュース
ルネサス エレクトロニクスは、2024年8月に買収したECAD大手アルティウム(Altium)の技術を基盤とするインテリジェントな開発プラットフォーム「Renesas 365, Powered by Altium(以下、Renesas 365)」の一般提供を開始したと発表した。第1弾として、ルネサスのArmマイコン「RAファミリ」から対応を始める。
ルネサス エレクトロニクスは2026年3月11日、2024年8月に買収したECAD(プリント基板設計ツール)大手アルティウム(Altium)の技術を基盤とするインテリジェントな開発プラットフォーム「Renesas 365, Powered by Altium(以下、Renesas 365)」の一般提供を開始したと発表した。第1弾として、ルネサスのArmマイコン「RAファミリ」から対応を始める。
Renesas 365は、デバイスの調査/選定、モデルベースでのシステム設計、設計妥当性の初期検証を、単一の統合プラットフォーム上で実現する。Renesas 365はクラウド上に構築されており、オープンなエコシステムの下で、半導体製品とシステムを拡張性を持って結び付ける「業界初」(ルネサス)のエンドツーエンド電子機器開発プラットフォームだという。
Renesas 365は、モデルベースによる評価/最適化技術により、システム全体の要件に基づいて最適なマイコンの選定を支援する、インテリジェントな設計環境として機能する。従来の組み込み機器開発プロセスのようにデータシートを個別に確認するのではなく、ピン配置、周辺機能、タイミング、消費電力、システムを構成する機能ブロックとの適合性といった観点から、設計条件に即したマイコン候補がガイド付きで提示される。
このインテリジェントな支援によって、設計の収束を加速し、下流工程からの手戻りを最小限に抑えるとともに、市場投入までの時間を短縮できる。結果として、より堅牢(けんろう)で効率的、かつコスト効率の高い組み込み設計が可能になる。例えば、従来、エンジニアが1時間程度を要していたデータシートや開発ツール要件の調査/確認作業を、数分で完了できるようになるという。
今回のRenesas 365の一般提供開始に合わせて、対応マイコンの第1弾となったのがRAファミリだ。550品種以上のソフトウェアや開発ツール一式をRenesas 365に統合した。既存のRAマイコンのユーザーは、IDE(統合開発環境)の「e2studio」で進めているプロジェクトを連携させることで、即座にRenesas 365の利用を開始できる。新規プロジェクトを立ち上げるユーザーは、先述したRenesas 365の機能に沿って、システムレベルの部品およびソリューションの探索をガイド付きで進められ、対応デバイスの選定や実現可能性の評価を効率的に行うことができる。
なお、Renesas 365は、エンジニアがシステム設計を進める中で変更を加えると、その内容を自動的に記録し、システムレベルの設計要素と関連付けて管理する機能も備えている。また、Renesas 365に統合されたOTA(Over-the-Air)機能を通じて、初期設計の完了後もRAマイコン搭載デバイスの管理および更新が可能になるとしている。
さらに、Renesas 365は柔軟性を備えたオープンプラットフォームであり、サードパーティー製の部品やセンサー、パートナー製ツールをシステム設計に直接取り込むことができる。これにより、設計チームは複数の選択肢を比較検討しながら、複数ベンダーを組み合わせたアーキテクチャを含めて検討できるようになる。
Renesas 365は今後も機能拡張を予定している。次の段階では、完成したサブシステムを、Renesas 365上で維持/管理できるコンポーネントとしてモデル化できるようにする。この取り組みの一環として、RAファミリ以外のより多くのルネサス製品への対応を拡大するとともに、サードパーティー製デバイスを含むコンポーネントエコシステムを拡充していく。周辺機能の構成、電源管理、ソフトウェアといったサブシステム要素については、Renesas 365上で自動的に定義/維持/管理され、互換性が検証された形で利用できるようになる。こうしたカスタマイズ可能なビルディングブロックを活用することで、ユーザーは製品の市場投入までの時間を短縮し、エンジニアリング工数を削減するとともに、最先端の技術をより容易に取り入れられるようになるとしている。
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