1秒以内の瞬間調光が可能な電子シェード開発、ヘイズは1%:材料技術
DNPは、電源のオン/オフによって光をコントロールしてライト(光線透過率が高い)/ダーク(光線透過率が低い)を瞬時に切り替えられる電子シェードを開発した。
大日本印刷(DNP)は2026年2月2日、電源のオン/オフによって光をコントロールしてライト(光線透過率が高い)/ダーク(光線透過率が低い)を瞬時に切り替えられる電子シェードを開発したと発表した。
ヘルメットメーカーであるSHOEIが提供するヘルメット用電子調光防曇シート「e:DRYLENS」に採用されており、同製品の生産を開始する。同製品は、DNPと米国に本社を構えるAlphaMicron(アルファマイクロン)の合弁会社であるAKARIを通じて販売される。
大型の電子シェード製品を生産できるラインを立ち上げ
DNPは精密コーティング技術とフィルム加工技術を生かし、2017年にゲストホスト液晶(GHLC)方式の調光フィルムの開発を開始した。GHLC方式は、Guestとして二色性色素を、HostとしてLiquid Crystal(液晶)を使用したものだ。二色性色素は、軸の方向によって光の吸収度が異なるため、液晶の動きに追従して光の透過状態と遮蔽(しゃへい)状態を作成できる。
GHLC方式の調光フィルムの開発完了後、プレミアムヘルメットで世界トップシェアを誇るというSHOEIの「瞬間調光で安全性を高めたい」というニーズに向けて、ヘルメットのシールド部分での活用を想定した製品の共同開発に着手し、e:DRYLENSの製品化に至った。
今回の電子シェードは、ライト/ダークの状態を瞬間的(1秒以内)に切り替えることが可能だ。エレクトロクロミック方式の調光技術では達成が難しかった「瞬間調光」を実現し、安全性を飛躍的に向上させた。
さらに、低電圧で駆動可能な設計により、電力消費を抑えながら優れた性能を発揮する他、DNPのノーマリークリアタイプ(電源オフでライト/オンでダーク)は7Vの電圧で動作する。
加えて、透過時にクリアな視界を実現できる。ヘイズ(フィルムの曇り)は約1%と低く、フィルムでありながらガラスのようなクリア(透明)感で利用者の安全性も高められる。
現在、DNPは今回の技術を応用し、自動車用ガラス向けにノーマリーダークタイプ(電源オフで遮光/オンで透光)の電子シェードも開発している。また、国内外ではバッテリーを搭載する電気自動車(EV)では、車内空間を確保するために、サンルーフやサイドガラスなどのシェード機構の薄型化/軽量化のニーズが高まっている。こういったニーズに対応しながら、スマートな調光の実現を目指す。
また、同社は大型の電子シェード製品を生産できるラインを黒崎工場(福岡県北九州市)内に立ち上げる。最大サイズが1300×2000mmまで対応可能な装置を導入し、サンプル提供を2026年春頃に開始し、2028年頃からの量産販売を目指す。
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