DNPが食品用紙トレイの資源循環システムを構築:リサイクルニュース
大日本印刷は、「DNP易剥離紙容器 紙トレイ」をイベント会場の飲食店などで使用した後、紙とフィルムを分離して回収し、回収した施設に提供する「資源循環システム」を構築した。
大日本印刷(DNP)は2024年7月11日、「DNP易剥離紙容器 紙トレイ」をイベント会場の飲食店などで使用した後、紙とフィルムを分離して回収し、回収した施設に提供する「資源循環システム」を構築したと発表した。
DNP易剥離紙容器 紙トレイは、簡単に剥がせるプラスチックフィルムを紙の表面に貼り合わせ、使用後に汚れたフィルムを剥がすことで、汚れのない紙を回収/リサイクルできる製品だ。この資源循環システムでは、トレイの製造から施設内での回収、再資源化したトイレットペーパーの施設内利用までの仕組みを提供する。
資源循環システム構築の経緯
企業/団体内の食堂やイベント会場の飲食店などでは、脱炭素社会の実現に向けて、石油由来の原料を使うプラスチック容器から、再生可能資源である植物を原料とする紙容器への切り替えニーズが高まっている。加えて、循環型社会の実現に向けて、紙容器の汚れを落としやすくして、古紙リサイクルに回しやすくしたいという要望もあった。
こうした環境負荷低減の課題に対してDNPは、油分の多い食品などでも紙容器の紙の部分に汚れがつかないように、食品に接するフィルムを使用後に容易に剥がせるトレイを開発/提供している。そこで、同社は、DNP易剥離紙容器 紙トレイを活用し、回収〜再資源化〜再生した製品の使用を実現する資源循環システムを関係企業各社と連携して構築した。
損紙を使用してトイレットペーパーも製造
構築した資源循環システムは、回収事業者や資源再生事業者など関係企業各社と連携することで、容器提供から資源の回収、リサイクル製品として提供するまで、トータルな対応を可能にした。トレイを製造する際に生じる用紙の周辺部分などの損紙も資源再生事業者に提供することで、資源として再活用する。
資源循環システムの手順は、まずDNPの工場でDNP易剥離紙容器 紙トレイを製造し、企業/団体に納入する。並行して、紙トレイ製造時の工場での損紙を収集して資源再生事業者に提供。次に、企業/団体の施設内で使用されたトレイの紙部分を回収する。これらの施設で回収した紙と製造で生じる損紙を使用して、トイレットペーパーを製造し、企業/団体に提供する。
今後は、DNP易剥離紙容器 紙トレイおよび構築した資源循環システムをエンターテインメント会社やスポーツ会場でのイベントなどに提供していく。
また、提供するトレイ容器には、AR(Augmented Reality、拡張現実)のコンテンツを楽しめるマーカーを印刷し、プラスチックフィルムを剥離して紙を捨てる前に、スマートフォンなどで読み込むことで、ARコンテンツを楽しめる機能を提案していく。
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