「割れにくいAlN基板」、薄型化や精密な穴あけ加工に対応:第40回ネプコンジャパン
岡本硝子とU-MAPは、「第40回ネプコンジャパン-エレクトロニクス開発・実装展-」で、繊維状窒化アルミニウム(AlN)フィラー「Thermalnite(サーマルナイト)」や、Thermalniteを添加した製品として「高強度AlN基板」を紹介した。
岡本硝子と名古屋大学発のスタートアップであるU-MAPは、「第40回ネプコンジャパン-エレクトロニクス開発・実装展-」(会期:2026年1月21〜23日、会場:東京ビッグサイト)内の「第27回電子部品・材料EXPO」に出展し、繊維状窒化アルミニウム(AlN)フィラー「Thermalnite(サーマルナイト)」や、Thermalniteを添加した製品として、「高強度AlN基板」を紹介した。【訂正あり】
【訂正】初出時に、AlNがAINと掲載されておりました。お詫びして訂正致します。(2026年1月28日11時00分)
10%添加で熱伝導率を10倍に
近年、高出力化が進む電気自動車(EV)やパワーデバイス、通信機器では高い熱伝導性と加工性を両立する放熱材料が求められている。しかし、従来の球状フィラーでは、高充填(じゅうてん)により強度や加工性が低下するという課題があった。
加えて、絶縁樹脂の放熱性を高めるには、樹脂の中に放熱フィラーを充填する必要があるが、従来技術では、高い熱伝導性能を発揮するために原料構成比で80%以上の充填が求められていた。そのため、放熱フィラーの固まりが生じ、加工しづらく、曲がりにくくなっていた。
こういった課題を踏まえてU-MAPが開発したThermalniteは繊維状の構造により、少量の添加で熱伝導経路を形成し、熱伝導率を高める他、高い強度と柔軟性を実現している。
例えば、従来の電子材料にThermalniteを原料構成比で10%添加することにより、熱伝導率が10倍に向上することが分かっている。従来品に原料構成比で数%添加することで、機械強度を4倍に高められることも判明している。10W/mKを超える熱伝導率でも、液体やペースト状だけでなく、シートなど特定の形状にも対応するという。
U-MAPは、樹脂材料における絶縁/放熱の課題を抱えるメーカー向けに、Thermalniteを用いた放熱材料の開発支援を展開している。支援内容としては、課題抽出を目的とした受託試験と共同開発となる。
受託試験では、既存のThermalniteでユーザーの樹脂との適合性を評価し、U-MAPがフィラーの最適設計の提案や、熱伝導率の評価と試作品(シート/ペースト)の提供を行う。受託試験の結果に基づき、共同開発では、長さ/太さを制御したThermalniteの新規設計や他フィラーとの複合化による材料設計、熱、強度、絶縁特性の総合評価を実施する。U-MAPは2025年にThermalniteの量産体制を確立した。
高強度AlN基板は、Thermalniteを添加し柱状組織を形成することで、機械特性を高め、割れ/欠けを抑制している。
岡本硝子の説明員は「通常のAlN基板は亀裂が入ると割れやすい。一方、Thermalniteを添加した高強度AlN基板は、亀裂が繊維にぶつかって迂回(うかい)するため、非常に割れにくい。これにより、これまで困難だった薄型化やレーザーによる精密な穴あけ加工を実現している」と話す。
高強度AlN基板のサイズは4.5インチで、厚みは0.2〜1.0mmとなる。熱伝導率は170W/m・Kと200W/m・Kの2種類のタイプを用意している。230W/m・Kのタイプも開発中だ。
用途としては、ヘッドライトや通信用光トランシーバーなどのLED/LDモジュールや、車載インバーター用や電動モーター駆動用、工作機械などのパワーモジュールを想定している。
なお、U-MAPと岡本硝子は2024年に、高強度AlN基板の量産体制を確立した上で、資本業務提携を締結したことを発表した。これにより、4.5インチサイズの高強度AlN基板を月産3万枚規模で生産可能とする体制を整え、流動品の販売を開始している。
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