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4インチ窒化アルミニウム単結晶基板のサンプル提供を2024年度下期に開始材料技術

旭化成は、子会社のCrystal ISが製造する4インチ窒化アルミニウム単結晶基板について、国内外の半導体デバイスメーカーへのサンプル基板提供を2024年度下期から開始する。

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 旭化成は2024年6月12日、米国ニューヨーク州に本拠を置く子会社のCrystal ISが製造する4インチ(直径100mm)窒化アルミニウム(AlN)単結晶基板について、単結晶基板の表面積のうち99%以上が使用可能になったことを受けて、国内外の半導体デバイスメーカーへのサンプル基板の提供を2024年度下期から開始すると発表した。

過去に製造した使用可能面積90%のAlN基板(左)と今回製造に成功した同99.3%の基板(右)
過去に製造した使用可能面積90%のAlN基板(左)と今回製造に成功した同99.3%の基板(右)[クリックで拡大] 出所:旭化成

 AlNは、非常に広いバンドギャップエネルギーを持ち、炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)よりも電力損失が小さく、耐圧が高いポテンシャルを有することから、エネルギー効率に優れ、次世代のパワーデバイスへの適用やRF(高周波)アプリケーションへの展開が期待されている。旭化成およびCrystal IS社は、サンプル提供を通じて社外のパートナーとのAlN半導体の研究開発を加速させ、実用化を進めていく。

 Crystal ISが、米国ニューヨーク州で製造しているAlN基板は欠陥密度が低く、紫外線透過性が高く、不純物濃度が低いという特徴がある。その特徴を生かし、これまで殺菌用途を中心としたUV-C(深紫外線)LEDで活用を進めてきた

 AlN基板の製造には、2000℃以上となる昇華炉内部において精緻な温度コントロールが必要であり、これが基板のスケールアップ(大口径化)において難しい課題だった。Crystal ISは1997年の創業以来、この分野のノウハウを蓄積し続けており、これまでも複数回のスケールアップを実現している。2023年8月には、従来の4倍の面積となるAlN基板の4インチ化に世界で初めて成功した。2023年の発表時点では、使用可能領域は80%以上だったが、改善を重ね、今回99%以上のAlN基板を実現した。

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