旭化成の半導体材料成長戦略、AIサーバの進化を支える新素材とは:製造マネジメントニュース(3/3 ページ)
旭化成は2027年度の営業利益目標として2700億円を掲げている。この目標達成の鍵を握るのは「重点成長事業」だ。中でも、エレクトロニクス事業では、急速に拡大するAIサーバの需要を捉え、成長を目指している。重点成長事業説明会を通して、エレクトロニクス事業の成長戦略を紹介する。
注力する次世代型低誘電ガラスクロスとは?
プリント配線板用ガラスクロス事業に関しては、AI市場の拡大を受けて、低損失で高速通信を実現する「低誘電ガラスクロス」の需要が急増している。
低誘電ガラスクロス市場では現在、400Gbps対応製品が主流だが、同社は需要が拡大する800Gbps対応の次世代型低誘電ガラスクロスの開発と生産量の拡大を進める。次世代の高速通信である1.6Tbpsに対応した「石英ガラスクロス」の開発も推進中だ。
同社では、通常のガラス原糸よりも脆く、取り扱いが難しい石英ガラス原糸を用いた石英ガラスクロスについて、仕様の確定から開発、製造、品質保証まで可能な一貫体制を構築している。石英ガラスクロスは、2025年に顧客での評価をスタートし、2026年度に顧客での認定獲得を目指しているという。
山岸氏は「プリント配線板用ガラスクロスについては、AIサーバ向けの旺盛な需要に対応するため、既存の守山製造所(滋賀県守山市)と台湾の拠点をベースに、生産拡大と次世代製品である石英ガラスクロス製品化の準備を進めている」と語った。
電子部品では、モバイル機器用カメラモジュール向けIC(手振れ補正/オートフォーカス用)や車載オーディオソリューション、電気自動車(EV)用コアレス電流センサーが成長している。
スマートフォンなどのカメラ性能の向上に伴い、手振れ補正や高速オートフォーカス機能の搭載率が継続して上昇している。こういったニーズを踏まえて、同社はスマートフォンのハイエンド機種やミドル機種に手振れ補正/オートフォーカス用ICを展開。最終ユーザーではモデル化が難しい小型モジュールに対して、量産性を考慮したソフトとハードの両面でソリューションも提供している。「韓国/中華圏の顧客を中心に堅調に販売数量が推移している」(山岸氏)。
自動車向けには、オーディオ向け大規模集積回路(LSI)製品の開発で培った、システム設計、ソフトウェア、チューニングの知見を組み合わせた車載オーディオソリューションを提供している。
EV用コアレス電流センサーは、高感度なホール素子を生かした高速応答特性を備えていることに加えて、パッケージ技術により高耐圧化と大電流化に対応する。「2026年度からはEV用コアレス電流センサーの販売数量が本格的に伸長する見通しだ。EVだけでなく充電ステーションなどでの採用拡大も見込んでいる」とコメントした。
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