旭化成が感光性絶縁材料の生産能力増強、需要急増する先端半導体市場で攻勢:工場ニュース
旭化成は、先端半導体向け感光性絶縁材料「パイメル」の生産能力を増強する設備投資を決定した。投資額は約160億円。今回の投資を通じて、生成AI(人工知能)などで需要が拡大する半導体市場に向け競争力をさらに高める。
旭化成は2025年8月22日、感光性絶縁材料「パイメル」の将来的な需要拡大への対応を目的として、生産能力増強の設備投資を決定したと発表した。
生産量は2024年度比で2030年時点に2倍となる予定
旭化成グループは中期経営計画において、「重点成長」「戦略的育成」「収益基盤維持/拡大」「収益改善・事業モデル転換」といった位置付けで主要事業をそれぞれ分類し、今後の資源配分方針を明確にしている。
パイメルが含まれる「エレクトロニクス」事業は、「重点成長」と位置付けられており、利益創出のため積極的に投資を行っていく方針だ。このように、投資対象を絞り込み、厳選された事業に対して集中投資を行うことで、旭化成は持続的な利益成長と企業価値の向上を目指している。
近年、先端半導体の高度化/高集積化に伴い、半導体保護膜/層間絶縁膜市場は持続的な成長を遂げている。こうした市場においてパイメルは、長年にわたり培ってきた技術開発力と品質保証体制、顧客ニーズに応じたソリューション提供力を強みに、先端半導体向け市場において、高い競争力を有している。
中でも急速な技術革新が進む生成AI(人工知能)などの先端半導体向け層間絶縁膜市場は、足元では年平均8%で成長しており2030年頃まではその勢いが続くと見られている。
これらの需要に対応する体制を整えるため、旭化成は、静岡県富士市でパイメルの新工場を2024年12月に完成させ、供給能力の強化を図ってきた。今後もますます増大する需要に応えるため、さらなる生産能力増強を目的とし、今回の計画を決定した。
同計画では、静岡県富士市の既存工場敷地内に、パイメル生産能力増強の設備投資を行う。増強した設備は2028年度上期に商業運転開始予定で、生産量は2024年度比で2030年時点に2倍となる予定だ。投資金額は約160億円を予定している。
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