どうなるEV向け全固体電池材料、2026年のキーワードは製造プロセスの最適化:MONOist 2026年展望(3/3 ページ)
2025年もEV向け全固体電池やその材料の開発に向けてさまざまな取り組みが行われた。国内の自動車メーカーや素材メーカーなどの過去の取り組みを振り返りながら、2026年以降に全固体電池やその材料でどういったアプローチがとられるかを考察する。
正極材の基礎研究は完了
正極材について、トヨタと住友金属鉱山は2025年に、EVに搭載する全固体電池のハイニッケル正極材の量産に向けて共同開発契約を結んだと発表した。
両社は、全固体電池用の正極材について2021年頃に共同研究を開始し、研究テーマの1つとして、充放電を繰り返す中で生じる正極材の劣化という課題に取り組んでいた。
その解決策として、住友金属鉱山が持つ独自の粉体合成技術を活用し、全固体電池に合った「耐久性に優れた正極材」を両社で新たに開発した。住友金属鉱山はこれまで20年以上にわたり多くの電動車に正極材を提供してきた知見を生かし、新開発した正極材の供給やその後の量産化を目指す。
住友金属鉱山は日本で唯一ニッケルの精錬を行っている企業だ。フィリピンの鉱山から原料を調達し、国内で生成して、電池材料として供給できる体制がトヨタから高く評価されている。同社は、全固体電池用の正極材の基礎研究を完了しているという。2026年以降も、量産技術の検証を進めるとともに、トヨタと連携して性能などを検証していくとみられる。
素材メーカーの挑戦
EV向け全固体電池の開発に挑戦する素材メーカーもある。例えば、特殊ガラス製品およびガラス製造機械の製作/販売を行う日本電気硝子が挙げられる。同社は2024年に、全固体ナトリウムイオン二次電池(以下、NIB)標準タイプのサンプル出荷を開始した。
NIB標準タイプは、正極、負極、固体電解質の全てが「安定した酸化物」により構成され、これらが独自の結晶化ガラス技術により強固に一体化した電池だ。過酷な環境下(−40〜200℃)で作動し、発火や有毒ガス発生のリスクがない他、資源確保への懸念を要しない材料であるナトリウムを用いた全固体電池となっている。同タイプは出力電圧が3Vで容量が200mAhとなっており、用途としては、PCやスマートフォン、エッジデバイスなどの二次電池が想定されている
同社は、「第23回 SMART ENERGY WEEK【春】」(東京ビッグサイト、2024年2月28日〜3月1日)内の「BATTERY JAPAN 二次電池展(第16回【国際】二次電池展)」に出展し、NIBの大型タイプを参考出展した。
NIBの大型タイプはA4サイズで、容量が数十Ahとなっており、同社はEV向けでの展開を想定している。しかし、同社の説明員は「現状、NIBの大型タイプは生産プロセスが最適化されておらず、一定の性能を有すものを安定的に生産できない。今後、製造プロセスの見直しなどを進めていく」と課題に触れた。一方で、「この課題の解消に向けて二次電池メーカーなどと協業していきたい」とも述べている。
このケースのように、素材メーカーがEV向け全固体電池の開発を進めるに当たり、二次電池メーカーのようなノウハウを有していないことから、生産プロセスの最適化がハードルになる場合が多いと考えられる。そのため、2026年以降は素材メーカーがEV向け全固体電池を開発するために、二次電池メーカーなどと協業して、生産プロセスの最適化を進めていくとみている。自動車メーカーでも2026年以降に同様の動きが起きる可能性はある。
つまり2026年以降は、自動車メーカーや素材メーカーはEV向け全固体電池の開発を進めるに当たり、製造プロセスの最適化に向け二次電池メーカーなどとの協業を推進するケースが増えると推察できる。併せて、出光興産などの素材メーカーでは、硫化物系固体電解質の製造プロセスを最適化する目的で、粉体の状態と動きをコンピュータ上でシミュレーションする流動解析やプロセスインフォマティクスなどを積極的に活用していくとみている。
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