パナソニックの次の柱は“畜産”!? 「水」でインドネシアに切り込む勝算:製造マネジメント インタビュー(2/2 ページ)
パナソニック 空質空調社は、インフラ整備が遅れるインドネシアで独自技術を軸に畜産分野へ本格参入した。現地の農業大学と行った実証実験では家畜の致死率改善と生産性向上を証明した。
現地大学と共同でWPS導入による生産性を調査
そこで、パナソニック 空質空調社とパナソニック・ゴーベル・インドネシアは、インドネシアのボゴール農業大学と共同で2024年5月から2025年3月にかけて実証実験を実施した。実際の農場を用いて、WPSによる水質浄化が鶏肉、鶏卵、生乳の生産性に与える影響や、塩素剤の家畜への健康影響を調査した。
養鶏分野での実証では、飲水をWPS供給ラインと未処理ラインの2つに分けて、発育状況を比較した。その結果、肉用鶏の死亡率は6.30%から3.67%(2.63ポイント減)へと低下し、採卵鶏においても、産卵率が約2.8ポイント向上した。また、卵のタンパク質含有量の増加といった品質面でも成果が得られた。
「一見すると数ポイントの差にすぎない。しかし例えば、実証の通り肉用鶏の死亡率が2.63ポイント改善すれば、1万羽を扱う農家では、(単純計算で)出荷数が263羽増加する。 畜産は売り上げの数%の変動がそのまま純利益の増減に直結する仕事であり、この微差が農家にとって経営の継続可否を分けることになる」(藤田氏)
実際に、標準的な6000羽程度を飼育する農家を想定した試算では、WPSの約10万円の初期投資が3カ月で回収可能となると算出している。
酪農分野においても、生乳の生産結果に変化がみられた。乳量はほぼ変化がなかったが、乳脂肪含量が2割増加したことに加え、乳房炎のリスクが減少した。これにより、8頭を飼育する農家では約11%の収入増が見込まれ、約4カ月で投資回収が可能という試算となった。「牛がきれいな水を飲み健康になることで、栄養を効率的に吸収し、生乳の品質が向上する。その生乳を国民が飲むことで、国民の健康につながるという、非常にポジティブなサイクルが生まれる」と藤田氏は話す。
3年で畜産向け1000台販売を目指す
パナソニック 空質空調社とパナソニック・ゴーベル・インドネシアは、今後の畜産分野における事業戦略として、3年間で1000台の販売目標を掲げる。目標達成に向けては、農家とのネットワークを持つ飼料メーカーらとパートナーシップを構築し販路拡大を狙う。また、ボゴール農業大学と農家向けのセミナーを開催し、畜産用水に対する知識の啓発やWPSの認知向上を図っている。
また、「インドネシアでの成功をモデルケースとし、同様の課題を抱えるベトナムやマレーシアへの展開を視野に入れている」(藤田氏)と語る。生産性向上だけでなく、近年世界的に変革期を迎えている「動物福祉(アニマルウェルフェア)」の観点からも、清潔な水の提供を通じて家畜の健康を守ることで、現地の持続可能な畜産業に貢献していく方針である。
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