NTNが軸受トルク計算の精度を50%改善させる新たな手法を開発:電動化
NTNは、オイル潤滑下の玉軸受が高速回転する際におけるトルク計算精度を、これまでと比較して最大で50%改善させた新たな計算手法を開発した。低トルク化技術のさらなる進展に貢献する。
NTNは2025年12月4日、オイル潤滑下の玉軸受が高速回転する際におけるトルク計算精度を、これまでと比較して最大で50%改善させた新たな計算手法を開発したと発表した。低トルク化技術のさらなる進展に貢献する。
今回開発したトルク計算手法は、軸受のボールが通る軌道面に注目し、ボールと軌道面の接触域と非接触域を別々に計算するもの。これまでの計算対象は接触域だけであったが、新たに非接触域も対象に加えたことで、トルク発生の要因をより詳細に計算可能となり、それぞれの要因がトルク増加につながる仕組みを解明することに成功した。
この手法により高速回転下におけるトルク計算の精度を従来と比較して最大50%向上させた。同社は、同手法をさまざまな条件下で活用できる計算式を作成し、社内の計算プログラムへの実装を終えている。
同手法によってトルク増加に影響を与える要因が判明した。その結果、これまで軸受の内部設計面でトルク減少に効果があるといわれていた手法の適切さの説明や、さまざまな使用環境において、どんな低トルク化の内部設計が有効であるかを短い時間で究明することも可能となる。
将来的には、軸受の低トルク化技術の進展に貢献する。さらに、高速回転時におけるトルク計算の精度改善により、同社内の工数削減もできるため、需要の高まりが見込まれるEV(電気自動車)用軸受の検討/提案スピードの増加が期待できる。
近年、EVやHEV(ハイブリッド車)の省エネ化が注目されており、これらの車両のモーターや減速機に用いられる軸受の低トルク化が課題となっている。これまでよりも軸受けの高速回転性能の向上が要求されているので、高速回転下であっても、より精度の高いトルク計算手法の開発が急務であった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
軸受常時監視のエッジ診断アプリケーション、Edgecross終了受けて新たに提供
NTNは、軸受の状態を容易に診断できるエッジアプリケーション「Bearing Inspector」を発売した。リアルタイム監視で故障リスクを低減し、点検作業の負担軽減に貢献する。
機器の長寿命化に貢献する、等速ジョイントの分解洗浄サービス
NTNは、産業機械用等速ジョイントの分解、洗浄や部品交換、再組み立てをするメンテナンスサービスを開始した。機器の故障リスクや買い替えを減らすことで、環境負荷低減にも貢献する。
NTN欧州工場の生産能力増強、ロボット化など段階的に拡大する需要に対応
NTNは、フランスのアルゴネ工場における航空宇宙向け軸受の生産能力を増強する。
中国の自国調達方針など影響、NTNが風力発電装置向け超大型軸受の生産再編
NTNは、同社傘下のNTN宝達志水製作所の生産機能を、NTNの桑名製作所に集約する。
ギヤボックス設計解析ソフトウェアに約6000型番の軸受データを提供
NTNは、KISSsoftが開発、提供するギヤボックス設計解析ソフトウェア「KISSsoft」に、軸受データの提供を開始した。同社の軸受を簡単かつ迅速に選定できるようになるため、設計開発の効率化や期間短縮に貢献する。
NTNが新たに工作機械向け軸受などを開発、消費電力低減や加工精度向上に貢献
NTNは新たに複合加工機やマシニングセンタなどの工作機械向け軸受および軸受構成部品を開発した。いずれも「第32回日本国際工作機械見本市(JIMTOF 2024)」(2024年11月5〜10日、東京ビッグサイト)において展示する。

