新材料活用し12インチウエハー上でCD1.6μmの3層RDL形成に成功:材料技術
太陽ホールディングスは、次世代半導体パッケージング用の感光性絶縁材料「FPIM」シリーズを使用し、ウエハー上で配線間隔1.6μmの3層RDL形成に成功した。
太陽ホールディングスは2025年11月13日、次世代半導体パッケージング用材料「FPIMシリーズ」を用いて、12インチウエハー上で、微細なパターン寸法(CD)である1.6μmの3層再配線層(RDL)形成に成功したと発表した。
今後はウエハー上の配線間隔でCD500nm以下のRDL形成実現を目指す
RDLは、より効率的な電気接続を実現するために、半導体パッケージングの最先端構造において重要な技術とされており、現在は主に全体に薄いシード層を形成後、配線部分を電解めっきにてパターン形成する方法「セミアディティブプロセス(SAP)」で製造されている。
一方、ベルギーに本部を置く半導体研究機関「Interuniversity Microelectronics Centre(imec)」は、半導体の製造において微細配線を追求する中で、配線間隔1.6μm以下の形成では、絶縁膜上に配線部分の溝を形成し、スパッタ、CVD、電解めっきなどで溝を埋め込みパターンを形成する方法「ダマシンプロセス」が必須になると提唱している。そこで太陽ホールディングスは、ダマシンプロセス向け微細ピッチRDLネガ型感光性絶縁材料としてFPIMシリーズを開発した。その後、同材料に関して、imecと共同で研究を行っている。
今回、同材料を用いて、12インチウエハー上にRDL3層構造を形成し、評価を行った。その結果、各配線間隔は、ウエハー上のRDL1層でCD1.6μm、ビア層でCD2.0μm(ビア中心間ピッチCD4.0μm)、RDL2層でCD1.6μmと目標寸法を達成した。これは、米国の半導体プロセス機器メーカーであるVeeco製の「Low NA(0.16)i 線露光装置 AP300(第一世代)」における解像限界に近い値だという。
また、CD1.6μmのRDL1層における、リーク電流と抵抗の電気特性の評価結果も良好だった。今回のimecとの共同研究による成果として、同材料は、優れた電気特性と、高解像性、化学機械平たん化/研磨(CMP)プロセスに適応できる品質を持つ材料であることが分かったという。
今後、太陽ホールディングスは、ウエハー上の配線間隔でCD500nm以下のRDL形成の実現を目指すとともに、電気特性と信頼性の長期性能の検証を続ける。なお、R&D用途としてFPIMシリーズの少量サンプルの出荷を2025年から開始している。
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