ソルダーレジストインキの原料管理はバーコード、自動化も進む太陽インキ製造の工場:メイドインジャパンの現場力(1/3 ページ)
主力生産品として液状のソルダーレジストインキを扱っている太陽インキ製造の埼玉工場。同工場の取材レポートを通して、液状ソルダーレジストインキの生産手順や原料管理手法、自動化している工程などを紹介する。
太陽ホールディングスのエレクトロニクス事業で中核となるのは、ソルダーレジストインキの開発、製造/販売を担う子会社の太陽インキ製造だ。太陽インキ製造の本社となる埼玉工場(埼玉県嵐山町)は、2001年に完成し、敷地面積は3万3328m2だ。同工場は、工場棟、事務/厚生棟、製品倉庫棟、第二工場棟、危険物倉庫、廃棄物保管庫から成り、主力生産品として液状のソルダーレジストインキを扱っている。
ソルダーレジストインキは、エポキシ樹脂、体質顔料、顔料、有機溶剤などから成り、プリント配線板の表面を覆い、回路パターンを保護する絶縁膜となる。部品の実装時にはんだ(ソルダー)が不要な部分へ付着することを防ぐ役割がある他、保護膜として、ホコリや熱、湿気などから回路パターンを守り、絶縁性も保つ。
年間約5000トン(t)の液状ソルダーレジストインキを生産する工場棟の製造工程を紹介する。
識別用のバーコードで原料を管理
埼玉工場におけるソルダーレジストインキの製造工程は、原材料受け入れ、原料取扱室、秤(ひょう)量、撹拌(かくはん)、分散(練肉)、粘度調整、充填(じゅうてん=仕上げ)の順に作業が行われる。
原材料受け入れでは、ソルダーレジストインキ製品を製造するための原料を受け入れて、管理する。原料が到着すると、書類を用いたチェックや外観、サンプルテストなどの検査が行われ、品質が確認される。この受け入れ検査に合格した原料の容器(ドラム缶やプラスチック容器など)に、原料のコードや名前などのデータが入力された識別用のバーコードが貼られ、対象ではないソルダーレジストインキ製品に誤って使用されないように管理される。受け入れが許可された原料は、コンピュータ制御された「自動倉庫」に保管される。
太陽ホールディングス 社長室 広報/ブランドマーケティング課の白鞘柚美氏は「原材料受け入れを行う部屋には、常温では化学反応が進んでしまう原料を保管する冷蔵庫も備えている。また、当社のソルダーレジストインキ製品は約300種類あり、手作業での原料管理は難しい。そこで、識別用バーコードを用いることにより、各ソルダーレジスト製品に適した原料を使えるようにしている」と話す。
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