驚異的な演算/運動性能を兼ね備えた次世代犬型ロボ「PUDU D5」シリーズが誕生:2025国際ロボット展
Pudu Roboticsは「2025国際ロボット展(iREX2025)」において、次世代の産業用自律型四足歩行型ロボット「PUDU D5」シリーズを披露した。2026年4月頃に日本で販売予定で、価格帯は600万〜700万円を想定している。
Pudu Roboticsは、「2025国際ロボット展(iREX2025)」(2025年12月3〜6日、東京ビッグサイト)において、次世代の産業用自律四足歩行型ロボット「PUDU D5」シリーズを披露した。同製品群は2026年4月頃に日本で販売予定であり、価格帯は600万〜700万円を想定している。初年度の販売目標はグローバルで1000台規模だ。
中国深センに本社を置くPudu Roboticsは、これまでにも配膳型ロボットの「BellaBot」をはじめとした、さまざまな業界向けのサービスロボットを展開してきた。Pudu Robotics Japan 日本ゼネラルマネージャーの楊嘉祥氏は「飲食業界に関しては、80%以上のシェアを有しており、その次に清掃業界のシェアを多く取っている。グローバル総計の出荷台数は10万台を突破した」と語る。
Pudu Roboticsは、2021年からembedded(組み込み) AI(人工知能)に関する取り組みを始めた。最初の研究段階では四足歩行型ロボットのプロトタイプ「PUDU D1」を開発。その後、幾つかのセミヒューマノイド/ヒューマノイドロボットを市場に展開していきた。新製品であるPUDU D5シリーズは、不規則な地形や屋外環境、産業現場での活動を目的として開発し、embedded AIの製品群として展開していく。
PUDU D5シリーズは多様な地形に対応するために、「脚式モデル」「車輪式モデル」の計2種類を用意。脚式モデルは、不規則な地形に対応し、荒野や山地といったフィールドの走行に適している。一方、車輪式モデルは平たん/整備が行き届いている地面を高速で走行可能であり、一部の障害物を超える能力も兼ね備えたモデルである。
PUDU D5シリーズに搭載したNVIDIAの「Orin」プラットフォームとRockchipの「RK3588」によるデュアルプロセッサアーキテクチャを駆使して、最大275TOPSの演算性能を発揮できる。これにより、リアルタイムSLAM(Simultaneous Localization And Mapping)や障害物回避、物体認識といったマルチタスクを低遅延で可能とする。IP67の防塵(じん)/防水性能を備えており、-20〜55℃の温度範囲で安定した稼働ができる。
また、PUDU D5シリーズはPudu Roboticsが一般に販売する製品として、初めて自社開発したモーターと関節モジュールを使用しているという。Pudu Robotics 創業者兼CEOの張涛氏は「中国の犬型ロボットを開発するメーカーは、サプライヤーから市販のモーターを供給してもらっていることが多い。われわれはこれを自社開発にすることで、運動性能を確保している。例えば、宙返りしたりロボットがあおむけの状態から立ち上がったりすることも可能である」と述べる。
同製品は、機体の前後に2つの192ラインLiDARセンサーを搭載しており、非常に広い範囲の3Dマッピングが可能である。屋内では約1000〜1万m2を、屋外では最大100万m2までマッピングして走行できる。
さらに、音声でロボットに指示を出せるように6方向のマイクを備えている。周囲360度を認識するため視野角120度の魚眼カメラを4台搭載しており、視界に入った人間を認識して搬送のために後をついていく「フォローモード」も搭載している。これらの機能を組み合わせることにより、さまざまなシーンや現場に適した対応が可能になる。
「D5には今後どんどん機能を追加していく予定である。また、さまざまな場面での仕事を想定し、配送用のボックスや巡回検査用のキットなど拡張性のあるオフィシャルアクセサリーも展開していく」(楊氏)
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