全方向移動と高荷重搬送を両立する新キャスタ、NSKと人機一体が共同開発:無人搬送車
日本精工と人機一体は、重量物搬送と全方向移動を両立する「アクティブキャスタPalGo 高荷重タイプ」を共同開発し、「2025国際ロボット展」で世界初公開する。同キャスタを搭載した「人機カートver.3.0」も披露する。
日本精工は2025年11月11日、人機一体と重量物搬送に対応しつつ全方向移動ができる「アクティブキャスタPalGo 高荷重タイプ」を共同開発し、同年12月3〜6日開催の「2025国際ロボット展(iREX2025)」(東京ビッグサイト)に世界初出展すると発表した。人機一体が開発を進める全方向移動台車「人機カートver.3.0」に搭載し、狭所での重量物運搬を想定したデモンストレーションも行われる。
PalGo 高荷重タイプは、日本精工が開発してきた差動駆動機構を備えるキャスタをベースに、2基のモーターで前後左右と旋回を可能にした。今回の共同開発により、1輪あたり1100kgfの垂直耐荷重を実現し、重量物の移動を支える仕様に強化した。車輪径は直径250mmで、駆動トルクは130Nm、旋回トルクは178Nmとなる。
国際ロボット展の会場では、両社が隣接ブースを構え、日本精工ブースでキャスタのモックアップとプロトタイプの公開、人機一体ブースで「人機カートver.3.0」の実演を行う。展示では機構内部が見える意匠と「力の流れ」を象徴するデザインを取り入れた。さらに両ブースを横断し、両社メンバーとznug designによるトークセッションや解説付きツアーを実施する予定だ。
人機一体は、人機カートver.3.0の実装に向けて2025年10月にタツタ電線で動作試験を行い、狭小空間での重量物ハンドリングの機械化を進めている。日本精工はPalGo 高荷重タイプの量産と事業化を推進し、ロボット産業向けの価値創出を目指すとしている。
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