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ユニバーサルロボットが見る協働ロボットの未来、自動化に関する5つの潮流と展望協働ロボット(1/2 ページ)

ロボットの技術進化が進む中、製造現場には今後、どのような変化が生まれていくのか。協働ロボット大手ユニバーサルロボット 戦略・イノベーション担当バイスプレジデントのアンダース・ベック(Anders Beck)氏の考察を掲載する。

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 ここ数年、多くの組織がさまざまなテクノロジーを活用した変革を急ピッチで進めています。社会のデジタル化が進む中、テクノロジーを取り入れ、新しいプロセスを効果的に導入することは、多くのビジネスにおいて成功の鍵となります。

 オフィスとリモート勤務を組み合わせたハイブリッドワークへの移行や新しいテクノロジーの採用など、業界を問わず急速な職場の変革が見られる中、製造現場において今後起こりうることは何でしょうか。ユニバーサルロボット(Universal Robots)は本稿で、5つの観点から予測します。

1. ターンキーソリューションで導入障壁が低減

ユニバーサルロボット 戦略・イノベーション担当バイスプレジデントのアンダース・ベック氏
ユニバーサルロボットのアンダース・ベック氏 出所:ユニバーサルロボット

 近年、私たちは高度な技術の発展をさまざまな場面で目の当たりにしています。ロボット工学や機械学習などの領域においては、これまでの10倍のペースで技術の進歩が起きています。しかし、その一方で、どのテクノロジー企業にも共通するのが、「1社だけで何もかもできるわけではない」という問題です。

 これはロボティクスの世界でも同じです。ロボットシステムを作るには、ハードウェアやソフトウェア、アプリケーションの開発、センサー、インタフェースなど、必要なものは数え上げればきりがありません。

 だからこそ、ユーザーによる導入障壁を下げるための「ターンキーソリューション」(導入後、すぐに使える状態のシステム)が注目されるのです。その中核を担うのが、ロボットやその他周辺機器を組み合わせたパッケージを開発するメーカーによる取り組みです。

 例えば溶接やパレタイジングといった、標準化されたシステムが開発しやすい特定用途に向けて、必要なコンポーネンツを組み合わせたパッケージを提供することで、協働ロボット技術を活用したイノベーションを推進することができます。その結果、自動化はこれまで以上に導入しやすいものになり、かつ簡単に使えるようになるでしょう。

溶接パッケージを活用した協働ロボットによる溶接(藤田ワークス)
溶接パッケージを活用した協働ロボットによる溶接(藤田ワークス)[クリックで拡大]出所:ユニバーサルロボット

 デンマークに本社を置くEnabled Roboticsは、この取り組みを推進する企業の好例と言えます。同社は2016年から、AMR(自律移動型ロボット)に協働ロボットを搭載するという、2種類の最先端技術を融合したパッケージソリューションの開発に取り組んでいます。

 このハイブリッド技術は現在、倉庫管理や生産現場で活用されており、サービスアプリケーションや病院のイントラロジスティクスといった分野でもロボティクスが導入されています。

 このような既成概念にとらわれないソリューションによって、自動化システムを必要とする企業は重要な技術を簡単に導入できるようになります。人が働く世界にロボットを導入するための想像力に富んだ方法は無限にあるのです。

2. モジュール生産に舵を切るメーカー

 製造業において、従来型の産業用ロボットが依然として重要な役割を果たしていますが、より柔軟な生産方式を導入する傾向も見られるようになりました。これは、従来型の産業用ロボットを用いた自動化設備が一般に大型で固定設置されており、導入には複雑なシステム構築が必要であることが大きな要因です。

 一方で協働ロボットは、従来型の産業用ロボットと同様の作業を行うことができますが、小型軽量で導入が非常に簡単です。また、人間と同じ空間で一緒に働くことを前提に設計されているため、安全面へのリスクも少なく、柔軟性や適応性が求められる環境にも適しています。さらに、自動化の導入を検討している企業にとって、最も費用対効果が高く、将来に向けての重要な検討事項となっています。

作業員と並んで作業する協働ロボット(トヨタ自動車北海道)
作業員と並んで作業する協働ロボット(トヨタ自動車北海道)[クリックで拡大]出所:ユニバーサルロボット

 協働ロボットが梱包、パレタイジング、溶接、組み立てなどの用途で生産ラインのコンセプトを変え続けているため、2023年中には大手企業も生産工程のモジュール性を高めるために軽量で再配置可能な協働ロボットに目を向けることになるでしょう。

 ロボットの重量と汎用性は、新しい自動化ソリューションを求める人々にとって重要な要件となり、これまで以上に再構成可能なロボットワークセルが登場することになるでしょう。

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