三菱ふそうの使用済みEVバッテリーはセカンドライフを経て再び電池材料に戻る:電動化(2/2 ページ)
三菱ふそうトラック・バス、CONNEXX SYSTEMS、True 2 Materialsは、車両の使用済みバッテリーの処理体制「バッテリーライフサイクルマネジメント/サーキュラーエコノミー」の取り組みについて説明した。
先進的なマテリアル回収プロセスも実証
EV向けのバッテリー生産プロセスでは、鉱山から採掘した鉱石を化学的に精製して正負極材を製造している。特に正極材に使用するリチウムの精製工程で排出されるCO2量は非常に多く、環境負荷が高いプロセスである。また、従来の使用済みバッテリーのリサイクルプロセスでは資源の回収に非常にコストがかかってしまい、得られる資源の価値も大きく損なわれてしまう。
これらの課題を解決するために、T2Mは使用済みバッテリーの資源回収に、新しいプロセスである「トータルマテリアルリカバリー(TMR)」の適用を目指している。T2M 社長のリチャード・カーロー氏は「われわれはリサイクルではなく、材料を回収して再利用することに焦点を当てている」と強調する。
同プロセスは、セカンドライフを終えたバッテリーを粉砕した際に得られるブラックマスから、従来の方法よりも高い割合で正極材などの資源を回収できる。これにより、資源の価値損失が全くない状態でCO2排出量とコストを劇的に削減できる。カーロー氏は「このプロセスは経済の側面で考えても、非常に価値があり、重要である」と語る。
現在は川崎製作所内に設置したパイロット施設で、同プロセスの実証を進めている。「世界はEVに移行しており、バッテリーに使用する原材料は非常に希少である。今後はわれわれの新しいプロセスを産業スケール/商業スケールで拡大していきたい」(カーロー氏)。
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