パイオニアの株主移行が完了、台湾Innolux子会社のCarUX傘下へ:製造マネジメントニュース
パイオニアは、スマートコックピット統合ソリューションのティア1サプライヤーで台湾のInnoluxの子会社であるCarUX Holding(CarUX)への株主移行が完了したと発表した。
パイオニアは2025年12月1日、同日付でCarUX Holding(以下、CarUX)への株主移行が完了したと発表した。
シンガポールに本拠を置くCarUXは、スマートコックピット統合ソリューションのティア1サプライヤーで台湾のInnoluxの子会社である。今回の株主移行によって、パイオニアの車載オーディオシステム、マルチメディアソリューション、HMI(Human Machine Interface)ソフトウェア開発における技術知見と、CarUXのスマートコックピット統合ソリューションの強みを融合し、CarUXグループとしてのコアコンピテンス、製品競争力、グローバルサプライチェーンにおける影響力を強化していく狙いがある。
今後CarUXグループは3つの主要領域でシナジー創出を目指す。1つ目の「顧客基盤の多様化」では、パイオニアが築いてきた日本をはじめとするグローバルな顧客基盤を生かし、同グループの欧米地域以外の自動車市場でのプレゼンスを拡大していく。特に、日本の自動車メーカーのサプライチェーンへの参入や、これまで接点を持ちにくかったパートナーとの協業販売機会の獲得を狙う。
2つ目は「製品ポートフォリオの拡充」である。パイオニアのオーディオ、マルチメディアシステム、HMIソフトウェアにおける知見と、CarUXの高度なスマートコックピットディスプレイおよび製品へのインテグレーション技術を組み合わせることで、製品ポートフォリオを拡大し、ディスプレイ、サウンド、ヒューマンマシンインタラクションをシームレスに統合した包括的なソリューションを提供する。
そして3つ目が「グローバルな製造基盤」だ。パイオニアは、日本、タイ、ベトナムをはじめとするアジア全域ならびに北米と欧州に研究開発/製造ネットワークを構築している。これらのリソースをCarUXのアジア/欧州における既存の事業基盤を組み合わせることで、CarUXグループは多地域にわたる供給体制をさらに強化し、グローバルな生産の強靭性を高め、世界中の顧客に対して迅速かつ地域に密着したサポートを提供していく。
「パイオニア再生プラン」から7年、CarUXグループとして再出発
パイオニアは2018年12月、業績低迷を受けて投資ファンドのBPEA(ベアリング・プライベート・エクイティ・アジア)による「パイオニア再生プラン」に合意して同社の完全子会社となっていた。その後、BPEAは2022年3月にスウェーデンの投資ファンドであるEQTに買収されている。
2025年6月、EQTは同社が保有するパイオニアの株式をCarUXに約1636億円で売却することを発表。この株式売却は、関係当局の承認などを経て、2025年10〜12月期までに完了する見込みとしていた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「カーナビ王国日本」は過去の栄光、普及率で中国にダブルスコアの厳しい現実
カー用品店に市販品の最新カーナビがずらっと並んでいる……。そんな時代もありました。
パイオニアが投資ファンドの完全子会社に、森谷社長「責任痛感も再建に必須」
パイオニアは、アジア向け投資を中心とする投資ファンドのベアリング・プライベート・エクイティ・アジア(BPEA)との間で、BPEAからパイオニアへの770億円の出資と現株主からの約250億円での株式買い取りによる「パイオニア再生プラン」に合意したと発表した。早ければ2019年3月中にもパイオニアはBEPAの完全子会社となる見込み。
中国自動車メーカーが業界を再定義、位置情報技術大手HEREも驚く開発スピード
HERE Technologies(HERE)が位置情報プラットフォームの事業展開について説明。会見では、同社でアジア太平洋地域を担当するディオン・ニューマン氏が、中国の自動車メーカーが業界を再定義する勢いで開発のスピードを加速させていることを強調した。
2030年に売上高1000億円の事業に、パイオニアの「ナビ機能付きドラレコ」の狙い
パイオニアは2022年2月10日、ナビゲーション機能を搭載したドライブレコーダー「NP1」を同年3月2日に発売すると発表した。従来のカーナビゲーションシステムとは異なり、ディスプレイ画面なしで音声によるルート案内や、乗員の音声入力による目的地検索を提供する。設定や地図での目的地検索は専用のスマートフォンアプリを通じて行う。
パイオニアがインクリメントPを売却、モビリティ向けソリューションに注力できるか
パイオニアは2021年3月10日、完全子会社のインクリメント・ピー(以下インクリメントP)を投資ファンドのポラリス・キャピタル・グループに売却すると発表した。取引の実行日は2021年6月1日で、インクリメントPの事業は従来通り継続する。
市販でも通信型ドライブレコーダー、緊急通報機能を充実させ月額制に
パイオニアは2020年9月30日、緊急通報機能付きの通信型ドライブレコーダー「ドライブレコーダー+」を発売すると発表した。通信機能を備えるドライブレコーダーは、自動車保険の特約などで利用できるものを除くと「市販向けとしては初」(パイオニア)となる。通信機能によって、HELPNET(ヘルプネット)への緊急通報や緊急時の家族への知らせ、プローブデータを活用した注意喚起による運転支援を提供する。