建機遠隔操作の遅延問題解決へ、衛星通信と光回線の組み合わせで信頼性を確保:ロボット開発ニュース(2/2 ページ)
IIJエンジニアリングとハイテクインターは、衛星通信と光回線による高信頼/低遅延ネットワークを用いた建設機械の遠隔操縦の実証実験デモを報道陣に公開した。
遠隔操作の課題には、StarlinkとPeplinkゲートウェイを活用
遠隔操縦の課題の1つである信頼性の高いネットワーク構築には、IIJエンジニアリングのマルチアクセスソリューションを使用した。同ソリューションを活用することで、複数の異なる通信回線を1つに束ねて、安定した通信環境を構築できる。実証実験では米国スペースXが運営するStarlinkとルーターメーカーであるPeplinkのゲートウェイの組み合わせを活用した。
Starlinkを活用することで、キャリア通信の電波が弱く高速通信が難しい地域でもブロードバンド回線に近い通信速度を確保できる。なお、建設DX実験フィールドにStarlink Miniを2台配置しているのは、低軌道衛星のハンドオーバーによる電波の瞬断に対応するためだ。
遠隔操縦を行うIIJエンジニアリング 本社オフィスには、物理的に異なる経路を持つ2系統のフレッツ光回線を配備。性質の異なる複数の回線を組み合わせることで、単一回線の障害や品質劣化に影響されない強固なネットワークを構築できる。
これにPeplink独自の「SpeedFusion VPN」を活用することで伝送品質を向上させ、パケットコピー機能である「WAN Smoothing」機能を用いて、どちらかの回線でデータが消失しても片方の回線で届いている電波を採用し、信頼性の高い伝送を担保できる。
建機映像の伝送エラーへの対処としては、限られた帯域で高品質な複数映像を安定して伝送を可能とする、ハイテクインターが開発した独自技術「BART(Bandwidth Adaptive and Error Resilient Video Transmission)」を採用した。同技術は、帯域最適化映像伝送と伝送エラー耐性技術で構成しており、データのパケットロスが発生しても遅延を抑えつつパケットのリカバリーが可能である。
遠隔操作の操作性を左右する遅延の課題に対しては、ハイテクインターが開発した独自のビデオエンコーダー技術でもアプローチしている。同技術により、コーデック処理に起因する遅延を50msに抑えられ、遠隔地からも良好な操作性を保ちつつ正確な建機操縦を実現できる。
今後については、さまざまな現場及び遠隔操作環境での実証実験を通じて、映像伝送環境の改良と知見の蓄積を進めていき、幅広い顧客のニーズに対応した建設DXを進めていく方針である。
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