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FPGAを発明したXilinxとセイコーエプソンの知られざる深イイ関係プログラマブルロジック本紀(5)(3/3 ページ)

FPGAに代表されるプログラマブルロジックICの歴史をたどる本連載。第5回は、Alteraの成長をけん引したCPLDの製品展開などについて取り上げた第4回から少し時間を巻き戻して、Alteraの競合であるXilinxの創業前後の時期について触れてみたい。

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PLDと比較して使いこなすのがはるかに難しかったFPGA

 なお、XilinxのCEOはVonderschmitt氏が務めることになった。またこの時期に、Freeman氏は自身のアイデアを特許出願する。最終的にUS4870302Aとして1989年9月に成立したこの特許は、Cartar氏が同じ時期に出願したインターコネクトに関する特許と併せてそれぞれFreeman特許/Carter特許として有名になるほど非常に強力なものであり、SRAMベースのFPGAの開発をもくろんだ後発メーカーが開発を断念するほどだった。同じくSRAMベースのFPGAを後追いで発表したAlteraは、これら2つの特許との抵触を巡って2001年まで特許紛争を続けた(2001年にAlteraがXilinxに2000万米ドルを支払うことで和解した)。

 さて、Carter氏はFreeman氏のアイデアを形にすべく、1984年9月からFPGAの設計を開始する。目標は1985年6月のテープアウトで、実際に何とか同年5月中にテープアウトを完了した。ファーストシリコンは(Cartar氏の言によれば)「6月38日」に入手したそうだ。このファーストシリコンは2.5μmプロセスで、ダイサイズは0.307mil角(7.8mm角)。これが、1984年11月に発売を開始したXC2064のプロトタイプとなる。

 Xilinx最初のFPGA製品であるXC2064は、CLB(Configurable Logic Block)と呼ばれるブロック(図1を64個、格子状に集積したものであり(図2)、おのおののCLBの間には縦横にインターコネクト(それも短〜中距離用の汎用インターコネクトと、Long Lineインターコネクトと呼ばれる離れた場所を途中のスイッチなしで直接接続できるインターコネクト、性能優先のDirectインターコネクトという3種類が用意された)。XilinxはこのXC2064を、PLDではなくゲートアレイの競合製品と位置付けて発表しており、XC2064は1200ゲート相当、とされていた。

図1
図1 「The Programmable Gate Array Data Book(1989年版)」より。上が各CLBの内部構造。右下の図はCLBの入出力オプションで、4入力1出力のOption 1以外に8入力2出力のOption 2、6入力1出力のOption 3などの設定が可能[クリックで拡大]
図2
図2 CLBは8×8構成で、それらの間を縦横にインターコネクトが走る。周囲にはI/Oブロックが並んでいるのが分かる[クリックで拡大]

 ただ、PLDと比較してFPGAを使いこなすのははるかに難しかった。適切な設計ツールの提供がやや遅れたのも大きかった。XilinxはXC2064の発表にあわせてXACT 1.0、後にXDE(Xilinx Device Editor)として知られるツールをリリースするが、名前の通りCLBの設定やインターコネクト/スイッチの設定などを直接制御するというもので、決して使いやすいとはいえなかった。この後XilinxはEDAベンダーと協力してより使いやすいツールや環境の構築に努めるものの、そうした効果が出るまでに数年を要した。

 そんなこともあってXilinxの創業初年度に当たる1985年の売り上げは散々たるもので、これは翌1986年も同じだった。大きく飛躍するのは、次世代製品であるXC3000をラインアップした1987年のことである。(次回に続く)

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