レナード・ニモイがAlteraのCPLDを隆盛に導いた!? Xilinxとの競合も始まる:プログラマブルロジック本紀(4)(1/3 ページ)
FPGAに代表されるプログラマブルロジックICの歴史をたどる本連載。第4回は、隆盛を極めたAlteraのCPLDの事業や製品の展開について取り上げる。また、この時期からAlteraとXilinxの競合も始まった。
前回記事の最後で「Alteraが1985年には早くも黒字化を達成した」と書いた。実際のAltera(アルテラ)の売上高は、1984年の約6万米ドルから翌年の1985年には前年比で100倍以上の650万米ドルとなり、さらに翌年の1986年には同4倍弱となる2450万米ドルと急成長した。これも全ては、CPLD(Complex Programmable Logic Device)という製品によるものだ。
「ロジカルといえばスポック」で決まったレナード・ニモイの広告起用
この時期のAlteraのエピソードとして興味深い話が一つある。同社は1984年から広告を打つことにしたのだが、そこに起用されたのがLeonard Nemoy(レナード・ニモイ)氏である(図1)。
図1 AlteraのLeonard Nemoy氏を起用した広告。他にも、Alteraの開発キットが入った箱をNemoy氏が持っているバージョンもあったらしいが、そちらは見つけられなかった[クリックで拡大] 出所:UC RiversideのEaton Collection of Science Fiction and Fantasy
キャッチコピーは“Meet the Logical Alternative”で、「ロジカルといえばスポック※1)だろう」ということで決まったらしい。ただし、スポックというかヴァルカン人の設定を使って広告を打つと、当時権利を持っていたパラマウントが黙っていない。そのため、そういう設定のない素のNemoy氏を登場させるという形で広告を打ったそうだ。
※1)本連載をご覧の読者なら説明はいらない気はするのだが、一応書いておくと、テレビドラマの「Star Trek」(日本では「宇宙大作戦」としてやはりヒットした)に登場する、ヴァルカン人の副長兼科学主任のこと。ヴァルカン人は論理的思考を貴ぶという設定になっている。そのスポック役を演じたのがLeonard Nemoy氏である。
ちなみにこの広告は、1984年10月に行われたイベント「Westcon conference」に向けてのものである。同イベントにNimoy氏も登場した(何かしらの話をしたのか、サイン会でもやったのか、などはもう全然分からない)のだが、重要なのはここに開発中のEP1200を持ち込んで展示を行ったことだ。
Alteraの初期のラインアップを見ると、EP300以外にEP600があり、後にはEP900やEP512、EP1800などが追加されているが、実はEP600の前にEP1200が開発されていた。EP300との最大の違いは、Macrocell(マクロセル)の構造の違いである。
EP300のMacrocellが、図2のようになっているのに対し、EP1200のMacrocellは図3のようになっている。
PLA Blockは大きくは変わらないのだが、I/O Architecture Blockにマルチプレクサやラッチが追加されているのが分かる。また、EP300では条件がStatic(プログラムで接続や切り替えが固定される)のみだったが、EP1200では信号に応じて変更できるDynamic Controlが追加され、より柔軟な構成が可能になっている。
全体では28のMacrocellを内蔵しており(図4)、これらが2つのブロックに分かれ、間がグローバルバスでつながるという構造である。入力専用ピンが12本、入出力ピンが24本と結構な本数であり、パッケージは40ピンに変更されている(図5)。
図4 Buried Registersという部分もマクロセル×4として勘定に入っている。本来は2ページにわたって掲載されている図を1つにまとめたので、ややつなぎ目がおかしくなっているのはご容赦いただきたい[クリックで拡大] 出所:Intel
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