DMG森精機は売上/営業利益見通し下方修正、米国関税交渉で出荷遅延など:工作機械
DMG森精機は、2025年12月期(2025年1〜12月)第3四半期の決算概要を発表。売上高や営業利益の通期見通しを下方修正した。
DMG森精機は2025年10月30日、2025年12月期(2025年1〜12月)第3四半期の決算概要をオンラインで発表した。
2025年12月期第3四半期累計(2025年1〜9月)の売上高は前年同期比11.6%減の3431億円だった。通期の売上高の見通しは5050億円とし、前回予想の5100億円から引き下げた。営業利益の予想も、前回の380億円から180億円へと下方修正した。
米国における関税負担の交渉の影響で出荷の遅延や検収の先延ばしが発生した他、ロシアによるウクライナ侵攻を背景に、欧州での輸出許可審査の長期化も起きている。また、欧州製の新しいCNC装置に対応するため納期の遅延も発生した。
ただ、ロシア政府に接収されたロシアの製造子会社に関して、ドイツ政府から保険金169億円支払いを受けたため、親会社の所有者に帰属する当期利益は前回の200億円から220億円へと上方修正した。
DMG森精機 代表取締役社長の森雅彦氏は「関税はユーザーに負担していただくことで交渉しているが、結果的に工場に出荷前の在庫が増えて生産工程が乱れている。名古屋港には木箱に入った出荷前の機械が山のようにある。欧州における輸出審査に関しても、制裁対象企業がどんどん増えており注意が必要だ。また、シーメンスとハイデンハインがCNC装置を刷新した。そのためわれわれの機械の電装設計に時間がかかってしまっている。ファナックに関してはこれから新製品が入ってくる」と話した。
2025年12月期第3四半期累計(同年1〜9月)の連結受注額は3819億円で前年同期比0.1%増とほぼ横ばいだったが、第3四半期(同年7〜9月)だけを見れば前年同期比16%増の1333億円となった。
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