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ネクスペリア問題は解決困難? 中国法人の支払い拒否でウエハー供給を停止組み込み開発ニュース

ネクスペリアが、国内外における自動車メーカーの生産活動に影響を与えている同社製半導体の供給再開に向けた取り組みの最新状況について発表。米中政府が制限を緩和する一方で、ネクスペリアの中国法人がオランダ本社の指示管理に従わない問題が新たに発生しているという。

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 オランダの汎用ロジック/ディスクリート半導体メーカーであるネクスペリア(Nexperia)は2025年11月5日(現地時間)、国内外における自動車メーカーの生産活動に影響を与えている同社製半導体の供給再開に向けた取り組みの最新状況について発表した。

 同社は、ウエハーに集積回路を形成する前工程工場が欧州にあるものの、回路形成済みのウエハーからチップを切り出してパッケージ済みのICに組み立てる後工程工場の中核拠点は中国にある。このため製品のサプライチェーンとして、中国の東莞にある後工程工場から顧客への出荷が行われることになる。

 しかし、ネクスペリアの親会社である中国のウイングテック・テクノロジー(Wingtech Technology)が2025年9月29日(現地時間)に米国政府の輸出管理制限延長の対象となり、子会社のネクスペリアもその対象に含まれることとなった。この事態を受けて、オランダ政府が2025年9月30日(現地時間)にネクスペリアの経営権を接収。中国政府は、2025年10月4日(現地時間)にオランダによるネクスペリア接収への報復措置として、同社の最大の後工程工場である中国現地法人から製品や半完成品の輸出を禁止する輸出管理令状を発出した。

 ネクスペリアのロジック/ディスクリート半導体は、自動車のECU(電子制御ユニット)に多数使用されている。その供給が滞ったことにより、既に2025年10月末から国内外の自動車メーカーの生産活動に影響が出始めている。

米中政府は制限を緩和も中国法人が指示管理に従わず

 今回の発表では、オランダ政府の経営権接収の要因にもなった、米国政府によるネクスペリアを輸出管理制限延長の対象とする措置が1年間延期されることが明らかになった。このことを受けて、中国政府もネクスペリアの中国工場と関連企業に対する輸出制限を緩和する方針を打ち出しているという。

 その一方で、ネクスペリアのオランダ本社の指示管理に対して、中国の現地法人が従わない状況に陥っている。もし中国工場からの輸出を再開できても、オランダ本社としては出荷される製品の知的財産や技術、真正性、品質基準などの保証できないとしている。さらに、ネクスペリアのグループ内の取引ではあるものの、オランダ本社から送ったウエハーに対する支払いを中国法人が拒否しているという。このためネクスペリアのオランダ本社は2025年10月29日、中国工場へのウエハーの直接供給を停止した。支払い拒否の他にも、社印の不正流用をはじめオランダ本社の指示管理から逸脱する状態になっている。

 ネクスペリアは、欧州や、中国を除くアジア地域の拠点が通常通り稼働していることから、中国工場を代替するサプライチェーンを構築して顧客への製品出荷を継続する取り組みを進めているという。

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