テレビとキッチン家電は課題事業脱却も、車載電池の不透明感漂うパナソニックHD:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
パナソニックHDは、2026年3月期第2四半期の連結業績を発表するとともに、構造改革の進捗状況について説明した。
テレビ事業とキッチンアプライアンス事業は課題事業脱却にめど
なお、今回は2025年2月および5月に発表した構造改革の進捗状況について、パナソニックHD グループCEOの楠見雄規氏が説明した。パナソニックHDは、固定費構造改革による収益性改善と、事業ポートフォリオマネジメントを実施し、2028年度までに3000億円の収益改善を進める計画を示している。これに伴い、グローバルで1万人規模の人員削減と、低収益事業の統廃合の検討などを進めている。
その中で、事業別WACC(加重平均資本コスト)がROIC(投下資本利益率)より多い事業を課題事業と位置付け、テレビ事業、キッチンアプライアンス事業、メカトロニクス事業、産業デバイス事業が挙がっていた。
ただ、テレビ事業については、パートナーとの協業のさらなる深化とリーンなオペレーションの徹底で課題事業脱却にめどをつけることができたという。また、キッチンアプライアンス事業については、日本で求められる品質の確保を前提に、中国サプライチェーンの部材活用を徹底することで、中国のコスト基準の製品を日本を含むグローバルに展開できる体制を構築する。これにより、コスト競争力を高めることで、課題事業からの脱却を実現する。
楠見氏は「テレビ事業については、事業撤退や売却をしなくても課題事業を脱却することにめどが立った。具体的な施策については異なるがキッチンアプライアンス事業についても状況は同じだ」と説明する。ただ、パートナーとの協議の内容については「コメントは差し控える」(楠見氏)としている。
同様にメカトロニクス事業、産業デバイス事業については、競争力のある領域に集中する踏み込んだ改革を進めているが「ステップなどについて詳細は申し上げられない」(楠見氏)としている。
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