「繊維 to 繊維」の資源循環へ、帝人や東レなど6者がコンソーシアム設立:リサイクルニュース
帝人フロンティアなど6者は、廃棄衣料品を再び繊維に戻す「繊維 to 繊維」の資源循環を目指すコンソーシアムを設立した。バイオ技術と既存技術を融合し、リサイクルの障壁だった複合繊維素材の再資源化を目指す。
帝人フロンティア、クラボウ、地球環境産業技術研究機構(RITE)、東レ、日清紡テキスタイル、日本毛織の6者は2025年10月27日、廃棄衣料品を再び繊維として再利用する「繊維 to 繊維」の資源循環構築を目指すコンソーシアム「Consortium for Fiber to Fiber(CFT2:シーエフティーツー)」を設立したと発表した。
経済産業省によると、現在、国内では年間78万トンの衣料品が新規供給され、うち51万トンが廃棄/焼却されている。こうした状況から繊維産業では循環経済(サーキュラーエコノミー)への移行が求められているが、衣料品のうち約7割は混紡品であることから、回収後の再資源化のための技術やコストが障壁となっているという。
そこで経済産業省は2024年6月に、「繊維製品における資源循環ロードマップ」を公表した。ロードマップでは2030年までに「繊維 to 繊維のリサイクルで年間5万トンの廃棄衣料を処理する」という具体的な目標を掲げている。
今回のコンソーシアム設立は、この目標達成に向けた動きの1つとなる。6者が共同提案した「繊維 to 繊維の資源循環構築の実現に向けた研究開発・実証」プロジェクトが、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「バイオものづくり革命推進事業」に採択されたことを受け、正式に発足した。
コンソーシアムでは6者の技術や知見を結集し、「繊維 to 繊維」の資源循環システム構築に向けた研究開発と実証を進める。
特に、これまで再資源化が困難であった、未利用資源の「複合繊維素材」の廃棄衣料品に着目。RITEが中心となり、酵素による選択的分離技術や、微生物を用いた繊維原料への再資源化技術の開発、プラットフォーム構築を進めていく。
さらに、繊維企業5社(帝人フロンティア、クラボウ、東レ、日清紡テキスタイル、日本毛織)がそれぞれ培ってきたメカニカルリサイクルやケミカルリサイクル技術も活用する。加えて、帝人フロンティアと東レは、廃棄衣料品を再活用するための選別技術の開発も担う。
コンソーシアムではこれらの技術開発と並行し、バイオものづくり製品を社会実装するための評価手法などを共同で検討する。天然繊維と合成繊維の両方に対応する衣料品の資源循環システムの構築を目指し、循環型社会の実現に貢献していく方針だ。
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