非接触で日常的なバイタルデータを高精度に検出できる生体センサーを開発:組み込み開発ニュース
三菱電機は、非接触で心拍や呼吸などを高精度に検出できる新方式の生体センサーを開発した。日常的なバイタルデータを継続計測して、健康管理や労働環境の改善に役立てられる。
三菱電機は2025年9月30日、心拍や呼吸に伴う体表と内部構造の微小変動を、非接触で高精度に検出する生体センサーを開発したと発表した。
同センサーは、微弱な電波により体表や体内の微小変動を電磁界の変化として捉える新方式を採用している。装着位置や体格差を検出して感度を自動調整する機能を備えているため、安定した計測が可能だ。
また、電磁界の変化のほか、衣服越しに心拍の振動を計測してバイタルデータを取得できる。複数の情報を組み合わせたマルチモーダルセンシングと、ML(機械学習)を利用したアルゴリズムにより、接触型センサーと同等の精度で心拍間隔を測定できる。心拍間隔の計測精度を検証したところ、一般的なスマートウォッチは誤差が28.5ミリ秒、同センサーは27.0ミリ秒とほぼ同等だった。
90×60×4mmと小型ながら、自動調整回路や電磁界センシング用の送受信回路、アンテナ、制御装置などを搭載する。この小型形状を生かして、胸ポケットに入れて利用したり、社員証と一体化するといった用途が想定される。
日常生活において取得したバイタルデータを、健康管理や労働環境の改善に活用する動きが広がっている。しかし、スマートウォッチなどの接触型センサーには、皮膚トラブル、装着の煩わしさ、作業時の利用制限などの課題があり、非接触で高精度にバイタルデータを計測できるセンサーが求められていた。
同センサーはバイタルデータの収集、活用に有用であることから、政府が掲げる「2040年までに健康寿命を3年以上延伸する」という目標の達成に貢献することが期待される。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
人の集中度合いや眠気をデータ化する分析サービスを三菱電機が商用化
三菱電機は、人の感情やバイタルデータ、環境データを可視化して配信する「エモコ分析サービス」を開始する。人の集中度合いや眠気などのデータを可視化し、労働や教育の環境改善に活用できる。万博に登場、三菱電機はFA機器とパッションフルーツの“日よけ”で何を生む?
三菱電機は2025年4月13日に開幕する「2025年大阪・関西万博」において、同社のFA技術を活用した「IoTグリーンシェード」を展示する。三菱電機が環境向け研究開発を披露 ノウハウなしで静電選別が行える検証機とは?
三菱電機は、兵庫県尼崎市の先端技術総合研究所で「グリーン関連研究開発事例 視察会」を開催し、オペレーションのノウハウなしで静電選別が行える検証機を披露した。自然界のわずかな動きで発電する電磁誘導発電モジュールを開発
三菱電機は、自然界のわずかな動きで効率的に発電する電磁誘導発電モジュールを開発した。そよ風や弱い水流、人が床を踏む動きなどで発電できるため、設置が困難だった場所にもIoTセンサーを導入可能になる。霧ヶ峰も採用する三菱電機の赤外線センサー「MelDIR」の検知面積が2倍以上に
三菱電機は、人や物の識別、行動把握を高精度に行えるサーマルダイオード赤外線センサー「MelDIR」の新製品として、検知面積を従来比で2倍以上に拡大した「MIR8060C1」を開発した。一般的な住宅の居間など広さ12畳の部屋全体を検知できるようになったという。家電リサイクルで回収した再生プラスチックをセンサー用無線通信端末に初採用
三菱電機は、家電リサイクルで回収したポリカーボネート系プラスチック(PC/ABS)を耐久性と難燃性を確保したプラスチックとして再生化することに成功し、ガス検針システムなどに活用が進められているセンサー用無線通信端末への採用を開始した。