人の集中度合いや眠気をデータ化する分析サービスを三菱電機が商用化:製造ITニュース
三菱電機は、人の感情やバイタルデータ、環境データを可視化して配信する「エモコ分析サービス」を開始する。人の集中度合いや眠気などのデータを可視化し、労働や教育の環境改善に活用できる。
三菱電機は2025年9月24日、人の感情やバイタルデータ、環境データを可視化して配信する法人向けサービス「エモコ分析サービス」を発表した。同年10月に提供開始する。
エモコ分析サービスでは、マルチモニタリングデバイス「エモコセンサーユニット」を用いて非装着、非接触でバイタル情報などを取得し、独自アルゴリズムにより「エモコ分析クラウド」で分析したデータを配信する。同サービスを利用する企業は、従業員の集中度合いや眠気などの配信データを、より良い働き方やオフィス環境の検討時に活用できる。
データはクラウドAPI経由で最短1分ごとに配信する。配信可能なデータの種類は、温湿度、CO2濃度、不快指数などの「環境データ」、集中度、眠気度、緊張度といった「感情推定データ」、体動強度、呼吸強度、脈拍、在不在判定、睡眠レベルなどの「人関連データ(バイタル)」の3つだ。なお、これらのデータは医療目的では利用できない。
サービスの利用には、エモコセンサーユニットの導入とデータ利用契約が必要となる。エモコセンサーユニットは24GHzドップラー式の「エモコアイ」や温湿度、CO2センサーを搭載する。給電はUSB Type-Cから、無線LANは2.4GHz帯に対応する。非接触で自然な状態のデータを取得できるよう、145×43×38mm、約110gのコンパクト設計で、設置自由度を高めている。
想定用途は幅広い。オフィスでは出社および在宅時の集中持続性比較、座席配置や換気の見直し、会議室の使用率、在不在の把握などに活用できる。教育分野では生徒の状況を把握して、声掛けのタイミングや授業の進め方の改善につなげられる。エンターテインメント分野では映画や演劇などで盛り上がるタイミングを確認する、コンテンツ別やシーン別に集中度、眠気度を評価するといった目的に利用できる。
同社は2024年11月に、小学校の教室にエモコセンサーユニットを配置する実証実験を実施した。同実験では、児童の集中力が持続、低下する状況を可視化して授業運営の改善や授業の振り返りに活用するなど、感情推定データ実装の有効性を確認できた。
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