毛髪の健康状態を数値化する診断システムを開発:医療機器ニュース
パナソニック くらしアプライアンス社は、毛髪のキューティクルを定量的に評価できる診断システムを開発した。独自のナノ触覚センサーを搭載し、毛髪を前処理せずに5分で計測できる。
パナソニック くらしアプライアンス社は2025年9月10日、香川大学と共同で、毛髪のキューティクルを定量的に評価できる診断システムを開発したと発表した。独自のナノ触覚センサーを搭載し、毛髪を前処理せずに5分で計測できる。前処理が不要の評価システムは、日本初になるという。
同システムは、香川大学が開発したMEMSデバイスのナノ触覚センサーを搭載。毛髪の張力や接触量、スキャン速度を自動制御することで、従来法の100倍以上の視野範囲となる50mmを安定して計測する。また、毛髪専門家の官能評価を学習させたディープラーニングモデルを搭載しており、人の指先の感覚を数値化してダメージレベルを定量化する。
毛髪をシステムにセットしてワンプッシュで測定を開始し、1回のスキャンで200万点のデータを収集できる。キューティクル枚数や表面のダメージレベル、髪の太さ、引張強度を自動測定し、診断結果として総合評価を表示する。
研究では、4年間伸ばした髪の部位ごとのダメージを測定し、根元から毛先にかけてダメージが蓄積していく過程を定量化した。ブリーチやカラー施術を受け続けていた被験者は髪の中間〜毛先にパサつきを感じていたが、その根本原因の可視化に成功した。
また、寝返りを想定した試験では、毛髪同士の摩擦によるキューティクルの損傷を確認した。ナノイーやミネラル、マイナスイオンを搭載したドライヤーを使用すると、ダメージを抑えられることも実証している。
キューティクルは髪の表面を覆う層で、外部刺激から髪内部を守るが、摩擦や紫外線などで損傷すると再生しない。電子顕微鏡などを使用する従来のキューティクル評価技術では、毛髪切断などの前処理が必要で、視野も0.5mm以下と局所的だった。
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