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パワー半導体接合材向けに粒径100nmの耐酸化ナノ銅粉を開発 従来の課題を克服:材料技術
近年、銀価格の高騰を受けて、パワー半導体の接合材として銀粉の代わりに銅紛が求められている。しかし、銅粉は銀粉に比べて酸化しやすく、取り扱いが難しいという課題がある。これらの課題を解消した製品として、住友金属鉱山は「耐酸化ナノ銅粉」を開発した。
住友金属鉱山は2025年9月18日、粒径100nmの耐酸化ナノ銅粉を開発したと発表した。耐酸化ナノ銅粉はパワー半導体関連材料の接合材などでの活用が見込まれる。
また、開発済みである粒径200nmの品種についても、顧客認定に向けて複数のサンプルワークを加速するとともに、2026年度の量産開始に向け検討する。
接合材は、半導体の基板同士やチップと基板を接合する材料で、現在は銀粉と溶媒を混合したものが主に使用されている。近年の銀価格上昇を受けて、銀粉に代わり銅粉のニーズも高まっているが、銅粉は銀粉に比べて酸化しやすく、取り扱いが難しいという課題がある。
そこで、住友金属鉱山はこれまで培ってきた金属粉末の合成技術を生かして耐酸化ナノ銅粉を開発した。耐酸化ナノ銅粉は、優れた耐酸化性と低温焼結性、均一な粒度分布を備え、シリコンカーバイド(SiC)などのパワー半導体向け接合材として相性の良さが高く評価されている。
今後は、より低温焼結が可能な粒径100nm品を追加することにより、接合材に加えて、接合材以外の半導体関連材料、電子基板や太陽電池での配線用材料などさまざまな用途での展開も加速する。
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