「Jetson Thor」搭載で「Holoscan」に対応するロボティクス開発キット:人工知能ニュース
Advantechは、「NVIDIA Jetson Thor」を搭載し、「NVIDIA Holoscan」プラットフォームに対応するロボティクス開発キット「MIC-742-AT」を発表した。エッジ側でのリアルタイム推論と低遅延なセンサー処理を可能にする。
Advantech(アドバンテック)は2025年8月26日(現地時間)、「NVIDIA Jetson Thor」を搭載し、リアルタイムセンサー処理のプラットフォーム「NVIDIA Holoscan」に対応するロボティクス開発キット「MIC-742-AT」を発表した。同年9月に発売する。
同キットは、2070TFLOPSのAI処理性能を持ち、128GBのLPDDR5Xメモリを備える組み込みAI(人工知能)ボードであるNVIDIA Jetson Thorを搭載している。8チャンネルのGMSL 2.0インタフェースに対応し、多数のセンサーを高速、低遅延で接続できる。
システムの消費電力は150Wに抑えており−10〜+60℃の範囲で動作する。筐体は、スペースが限られる場所にも設置可能なコンパクト設計を採用した。ヒューマノイドやAMR(自律走行搬送ロボット)、手術支援ロボットといった、高性能なエッジAI用途に適している。
さらに、センサーの標準化やイーサネット伝送に対応できるよう、Holoscanプラットフォームとデータ転送技術「NVIDIA GPUDirect RDMANV」を採用。センサーデータをCPUを経由せずにGPUメモリに直接ストリーミングし、リアルタイム処理のボトルネックを回避する。
複数センサーのリアルタイム同期が必要な開発者には、拡張モジュールとして、「Holoscan Sensor Bridge(MIC-FG-HSBA1)」とスイッチアクセサリー「Holoscan Switch(EKI-2712X-SPE)」を用意している。これらのモジュールは、ステレオカメラやLiDAR、レーダー、超音波、IMU(慣性計測ユニット)のデータを低遅延、高帯域で同期し、マルチモーダル処理の精度向上に寄与する。
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