「Jetson AGX Thor」が実力をチラ見せ、AI処理性能は従来比7.5倍の2070TFLOPSに:人工知能ニュース
アドバンテックは、「COMPUTEX TAIPEI 2025」において、NVIDIAの次世代組み込みAIボード「NVIDIA Jetson AGX Thor」を搭載する高性能エッジAIプラットフォーム「MIC-743」を披露した。
アドバンテックは、「COMPUTEX TAIPEI 2025」(2025年5月20〜23日、台湾台北市)において、NVIDIAの次世代組み込みAI(人工知能)ボード「NVIDIA Jetson AGX Thor(以下、Jetson AGX Thor)」を搭載する高性能エッジAIプラットフォーム「MIC-743」を披露した。
MIC-743に搭載されているJetson AGX Thorは、最新のGPUアーキテクチャである「Blackwell」を採用しており、AI処理性能はFP4(4ビット浮動小数点演算)で2070TFLOPSに達する。また、LLM(大規模言語モデル)、VLM(視覚言語モデル)、ビジョントランスフォーマーなどの生成AIモデルを高速に処理できるように、最新インタフェースであるLPDDR5X対応メモリを128GB搭載している。
現行のNVIDIAの組み込みAIボードでフラグシップとなる「NVIDIA Jetson AGX Orin(以下、Jetson AGX Orin)」の場合、64GBのLPDDR5メモリを搭載するモデルのAI処理性能がINT8(8ビット固定小数点)で275TOPSとなっている。Jetson AGX ThorのAI処理性能はBlackwell世代から可能になったFP4であり、INT8ではないものの、単純計算ではJetson AGX Orinの約7.5倍となる。
また、MIC-743はインタフェースとして、広帯域のセンサー入力用として100GbE対応のQSFP28×1と5GbE対応のLAN×1に加えて、USB 3.2×4、HDMI、CAN×4、I2Cなどを備える。カメラインタフェースは、高速の差動インタフェースであるGMSL2に対応している。動作温度範囲はー10〜60℃で、3Grmsまでの耐振性を備える。
なお、2025年3月の「GTC 2025」をはじめNVIDIAのイベントや発表では、Jetson AGX Thorの細かな仕様は公表されていない。今回、COMPUTEX TAIPEI 2025でアドバンテックが披露した搭載品を通してその実力の一端を見せる格好となった。
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