最大加工径32mmのスイス型自動旋盤、ガイドブッシュ切り替え機構標準搭載:工作機械
スター精密は、スイス型自動旋盤「SP」シリーズの新機種「SP-32」を2025年12月以降に発売する。門型刃物台や多彩な回転工具ユニット、ガイドブッシュ、ノンガイドブッシュ切り替えなどにより、幅広い部品加工に対応する。
スター精密は2025年9月3日、スイス型自動旋盤「SP」シリーズの新機種「SP-32」を発表した。サイズは2570×1275×1850mm。販売開始は同年12月以降で、国内外に順次展開する予定だ。
SP-32は、従来品の「SP-20」を基に、最大加工径32mmまでの加工に対応。工具の搭載自由度と豊富なソフトウェア機能を生かし、データセンター向けITインフラ関連機器のほか、自動車、油圧、空圧装置、一般機械など多様な用途に適する。
プログラムデータ一括入出力などの支援機能を備え、オプションでNC装置にプログラム作成を容易にする「EASY EDIT」も搭載できる。切削室ドアは開口部が広く、跳ね上げ式ドアで段取りや保守の作業性も高めた。
正面加工用刃物台は、ガイドブッシュを取り囲む門型構成を踏襲。手前側に6本型(16mm)の旋削バイトホルダー、奥側に6軸型クロスドリルユニットを装備し、うち4カ所はカートリッジ式で多様な工具ユニットに換装できる。
上部のスリーブホルダーは5軸型で、大径穴あけ対応の2カ所を含む。背面加工専用刃物台は4軸型または5軸型を選択可能で、いずれも工具回転駆動を標準搭載。最大4カ所に回転工具ユニットを装着し、正面や背面の最適な工程分割と同時加工でサイクルタイムを短縮する。
さらに、ガイドブッシュ切り替え機構を標準搭載する。長尺部品はガイドブッシュ仕様で振れを抑えて高精度加工に、短尺部品はノンガイドブッシュ仕様で残材を短縮し、材料コスト低減を図る。主軸台最大ストロークは、ガイドブッシュ仕様が310mm、ノンガイドブッシュ仕様が材料径×2.5mm(最大80mm)となっている。
切りくず対策として、オプションで「ステップサイクルプロ」を用意し、専用画面で条件を設定して分断、排出を促す。機体各部の温度センサー情報による熱変位補正、正面刃物台回転工具ギアボックスのオイルミスト冷却、メインおよびサブスピンドルのビルトインセンサーによる割り出し精度向上も図った。さらに、メインおよびサブともオプションでトルクアップ仕様を選べば、直径14mmまでの穴あけに対応する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
JIMTOF2026はビッグサイト改修中の開催 来場者目標は前回と同じ13万人
日本工作機械工業会と東京ビッグサイトは「第33回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2026)の概要を発表した。機械加工とは何か、元工作機械エンジニアが改めて考える
本稿では、元工作機械エンジニアが、機械加工とは何かについて改めて考えます。元工作機械エンジニアが見た、JIMTOF2024
元工作機械エンジニアがJIMTOF2024(第32回日本国際工作機械見本市)を振り返ります。よみがえる明治大正の町工場の音、工作機械の“生きた教材”ごろごろ
電動機のスイッチを入れると、白色電球がともる薄暗い工場内で、ベルトを介して動力が伝わった旋盤が動き出した――。日本工業大学の工業技術博物館は工作機械を約270台所蔵し、7割以上が実際に稼働できる動態保存になっている。同博物館の館長である清水伸二氏に、動態保存の舞台裏、同博物館の果たす役割、今後の工作機械産業の展望などを聞いた。弓旋盤からスマートファクリトリーまで、動く工作機械の博物館が目指すもの
ヤマザキマザックは創立100周年事業として2019年11月に「ヤマザキマザック工作機械博物館」を開館した。同館では国内外の工作機械を稼働可能な状況に整備して展示していることが特徴だ。副館長である高田芳治氏に、開館の経緯や展示の概要、見どころについて話を聞いた。CNCとは何か〜工作機械史上最大の発明
本連載では、工作機械史上最大の発明といわれるCNCの歴史をひもとくことで、今後のCNCと工作機械の発展の方向性を考察する。連載第1回目の今回は、まずCNCとは何かについて改めて説明する。