ラボ作業を自動化するモジュール型システム、組み換え自在で研究開発を加速:研究開発の最前線(2/2 ページ)
デンソーウェーブの「COBOTTA LAB Modules」は、卓上サイズの協働ロボット「COBOTTA」と多彩な機能モジュールを組み合わせることで、手作業に頼っていたラボ作業を自在に自動化する。粉体秤量(ひょうりょう)や混合、ろ過など、用途に合わせてシステムを自由に組み替えられるこの新システムは、どのようにして研究者の生産性を飛躍的に向上させるのか。
ユーザーがモジュールの位置を変更可能となる機能を実装予定
ろ過/分離用の機能モジュールは、ろ過(減圧ろ過)と漏斗(じょうご)マガジンとなる。ろ過は、減圧環境で液体から固体を効率的に分離する。清潔かつ迅速な処理で、実験や製造工程の精度と再現性を高められる。漏斗マガジンは減圧ろ過するための漏斗を複数保管できるモジュールで、減圧ろ過を利用する際に必須だ。
補助/汎用装置の機能モジュールはキャッパーやキャスター付きアルミ架台となる。キャッパーは、スクリュー菅瓶やポリプロピレン(PP)ボトルなどのキャップ開閉を自動化する。揮発やコンタミネーションを防ぎ、試料の品質を保持するのに役立つ。キャスター付きアルミ架台は、各種モジュールや装置を安定して設置し、固定するものだ。軽量アルミ製でキャスターも付いており、移動やレイアウト変更も容易だ。
また、関連製品/オプションとして、粉じんや薬液からCOBOTTAを保護するカバーやエアコンプレッサー、キャスター付きアルミ架台用のステンレス製ベースプレートを用意している。
デンソーウェーブの説明員は、「用途に合わせて、モジュールを選ぶだけで、COBOTTA LAB Modulesはすぐに導入できる。複雑な設定や設計は不要だ。モジュールの組み合わせや配置は自在で、COBOTTAが走行軸ベースでスライド移動し、各モジュールと連携してさまざまな作業を行える。COBOTTAの利用に当たり、安全策は不要で、限られたラボスペースに無理なく設置できる」と話す。
COBOTTA LAB Modulesのシステム構成の一例として、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)前処理システムを挙げる。同システムは、COBOTTA、IoT Data Share/IoT Data View、Lサイズの走行軸ベース、PPボトル用やメスフラスコ用の容器トレイ、有線ピペット、送液ポンプ、定容、高精度版の電子天びん、標準版の粉体秤量、ボルテックス、キャッパー、Lサイズのキャスター付きアルミ架台で構成される。
同システムは、HPLCの分析に役立つ試料の調製、分注、キャップ開閉、搬送などの前処理工程を自動化する。
デンソーウェーブの説明員は、「現状は、用途に合わせたCOBOTTA LAB Modulesの組み立ては当社の従業員が担当する。2026年3月に実装予定のプラグ&プレイ機能により、ユーザーがモジュールの位置を変更可能となる。プラグ&プレイ機能は、どのモジュールの位置やどういった順番で制御システムに接続されているかを、上位のプログラマブルロジックコントローラーに自動で認識させ、システムが自動で再構成される」と語った。
また、現時点では20種類の機能モジュールが完成しているが、最終的には32種類の機能モジュールが提供される予定だという。
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