試薬の液体調合、定容、粉体秤量を自動化するシステムをラボ向けに開発:JASIS 2024(1/2 ページ)
デンソーウェーブは、卓上サイズの人協働ロボット「COBOTTA(コボッタ)」を用いた「液体調合システム」「定容システム」「粉体秤量システム」を開発した。
デンソーウェーブは、「JASIS(Japan Analytical & Scientific Instruments Show)2024」(2024年9月4〜6日、幕張メッセ)に出展し、卓上サイズの人協働ロボット「COBOTTA(コボッタ)」を用いた「液体調合システム」「定容システム」「粉体秤量システム」の機能やデモンストレーションを披露した。いずれのシステムも2024年10月中にリリースされる予定だ。
液体調合システムは温めながらの攪拌にも対応
従来、研究者が手作業で行っていた実験をロボットなどで自動化する「ラボラトリーオートメーション」が注目されている。ラボラトリーオートメーションは、正確で一貫性のある高品質な実験データを24時間収集できる。これにより、研究者は作業時間の短縮や作業負荷の低減を実現し、付加価値の高い作業に集中できるようになる。
デンソーウェーブでは企業の研究開発部門や研究機関などに向けてラボラトリーオートメーションのシステムを構築するサービスを提供している。同社が構築するラボラトリーオートメーションのシステムは、熟練者のノウハウをCOBOTTAの動作に反映し、実験で一貫性と再現性があるデータを取得できるようにする他、計測データの自動保存を可能とし、トレーサビリティーの情報を簡単に確かめられるようになる。
安全柵不要で卓上サイズのCOBOTTAは省スペースで設置でき、同社のラボラトリーオートメーションシステムは特別な工事や大規模なレイアウト変更が不要で、クリーンベンチやドラフトチャンバーにも設置できる。同システムは軽量設計のため2人で持ち運び可能で、急なレイアウト変更にも応じる。
さらに、同システムは専門知識不要で導入でき、直感的なタブレット端末の操作とサポート体制により初心者でも操作可能だ。
同社はラボラトリーオートメーションシステムを展開する中で、構築の要望が多かった3つのシステムを標準化した。これらが液体調合システム、定容システム、粉体秤量システムだ。
液体調合システムは、複数種類の液体の分注、マグネチックスターラーを用いた攪拌作業など、液体の複合作業を自動化する。同システムは、COBOTTA、空容器、キャップ開閉ユニット、電動ピペット、ピペットチップ、チップ廃棄箱、試薬置き場、空き容器/調合済み試薬置き場、マグネチックスターラー、制御システムなどで構成される。
同システムの作業手順は、まずCOBOTTAが空容器をトレー(置き場)から取り出し、容器のキャップを開栓して所定の位置に設置する。
次に、COBOTTAが電動ピペットを装着し、電動ピペットに電動ピペットチップを取り付ける。その後、電動ピペットで試薬を吸引し、所定の位置に置いた容器へ吐出する。
続いて、COBOTTAが試薬が入った容器を閉栓しトレーへ戻し、他の空容器で上記と同様の動作を行う。閉栓された試薬入りの容器はマグネチックスターラーへセットされ攪拌される。COBOTTAがマグネチックスターラーの起動/停止から攪拌速度、温度設定まで制御する。マグネチックスターラーはヒーター付きのため、温めながら攪拌できる。
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