試薬の液体調合、定容、粉体秤量を自動化するシステムをラボ向けに開発:JASIS 2024(2/2 ページ)
デンソーウェーブは、卓上サイズの人協働ロボット「COBOTTA(コボッタ)」を用いた「液体調合システム」「定容システム」「粉体秤量システム」を開発した。
定容システムとは?
定容システムは、複数種類の液体の分注、標線を認識した高精度な定容、液体の混和など、多様で繊細な作業を伴う定容作業を自動化する。同システムは、COBOTTA、空容器、メスフラスコ、キャップ開閉ユニット、電動ピペット、ピペットチップ、チップ廃棄箱、試薬置き場、空き容器/調合済み試薬置き場、送液ポンプ、希釈用純水、制御システムなどから成る。
同システムの作業手順は、まずCOBOTTAがメスフラスコをトレーから取り出し所定の位置に設置し、試薬入り容器のキャップを開栓する。次に、COBOTTAが電動ピペットを装着し、電動ピペットに電動ピペットチップを取り付ける。その後、電動ピペットで試薬を吸引し、所定の位置に置いたメスフラスコへ吐出する。
続いて、COBOTTAが電動ピペットから電動ピペットチップを取り外し廃棄して、電動ピペットを所定の位置に戻す。
その後、送液ポンプとノズルにより希釈用純水を試薬入りのメスフラスコに入れ指定の濃度となるように希釈する。ノズルを取り出し後、メスフラスコの標線を検出し定容を行う。COBOTTAで送液ポンプの起動/停止から吐出量の変更まで制御でき、カメラでメスフラスコの標線とメニスカス線を認識するため高精度な定容が可能だ。次にメスフラスコを閉栓し、転倒混和する。
粉体秤量システムは、AI(人工知能)ソフトウェアの「粉体秤量スキル」を活用して、複数の粉体の秤量作業を自動化し、熟練作業者のノウハウを反映した動作で、秤量を行う。粉体秤量スキルは、すくう位置や深さによって生じる粉体の変化への対応など、プログラミングによるCOBOTTAの動作生成が難しい作業を自動化する。
同システムは、COBOTTA、キャップ開閉ユニット、空容器、試薬置き場、空き容器/調合済み試薬置き場、粉体秤量一時置き場、自動開閉風防付き電子天びん、制御システムなどから成る。
同システムの作業手順は、まずCOBOTTAが空容器をトレーから取り出し、容器のキャップを開栓後に風防付き電子天びんへ搬送する。次に、COBOTTAが試薬容器をトレーから取り出し、容器のキャップを開栓後に粉体秤量一時置き場へ移送。
続いて、COBOTTAが試薬容器に入った粉体を薬さじですくい、電子天びん上の空容器へ秤量する。粉体の山へのさじの差し込み具合を粉体秤量スキルが判断し、COBOTTAが最適な動作を行う。加えて、秤量値は各種粉体で設定を変更できる。自動開閉風防付き電子天びんも利用するため環境の影響を受けにくく安定した計測が可能だ。その後、両容器を閉栓し、トレーへ戻す。
いずれのシステムも、必要な時のみキャップを開栓することで、揮発やコンタミネーションを防げ、容器は供給用/排出用ともに10個までトレーに置ける。さらに、液体調合システムと定容システムでは、COBOTTAによる電動ピペットの操作で、容器のふちに沿わせて吐出するなど、熟練者の動作を反映することで高精度に吐出できる。なお、両システムは電動ピペットチップの取り付けから廃棄までを自動で行う他、チップ取り付け確認センサーにより、確実な作業を実行する。
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