Sapphire Rapids-SP搭載の組み込みコンピュータ旗艦モデル、リコーPFUが発売:エッジコンピューティング
リコーPFUコンピューティングは、フラグシップ組み込みコンピュータの新製品「RICOH AR8300 モデル320P」を発売した。「第4世代Intel Xeon Scalableプロセッサ」(開発コード:Sapphire Rapids-SP)を最大2基搭載することによる高い演算処理性能などが特徴だ。
リコーPFUコンピューティングは2025年9月8日、フラグシップ組み込みコンピュータの新製品「RICOH AR8300 モデル320P(以下、AR8300 モデル320P)」を発売した。「第4世代Intel Xeon Scalableプロセッサ」(開発コード:Sapphire Rapids-SP)を最大2基搭載することによる高い演算処理性能に加え、NVMe-U.2接続によるSSDへの高速データアクセス、PCI Express Gen5のサポートによる高い拡張性などが特徴。耐久性や長期サポートが求められる組み込みコンピュータとしては最高クラスの性能と機能を備えており、リアルタイム演算や大容量のデータ処理が求められる半導体製造装置/検査装置をはじめ、医療機器、社会インフラシステムなどの用途を想定している。
AR8300 モデル320Pは、PFUが組み込みコンピュータ事業で展開してきた「ARシリーズ」の最新製品である。2025年4月からは、同事業とリコーインダストリアルソリューションズとの統合により発足したリコーPFUコンピューティングが、リコーグループの組み込みコンピュータ製品の開発、製造、販売、保守を担っており、AR8300 モデル320Pの展開も進めていくことになる。
従来のARシリーズと同様に、AR8300 モデル320も企画/設計から生産、保守までを国内で一貫して行うことにより高い品質と信頼性を確保している。マージン重視の設計ルールの採用、設計レビュー、試作/量産前の繰り返し評価など、厳格な品質管理プロセスを経て製品化する点も変更はない。
外形寸法は、横置き時で幅420×奥行き450×高さ160mmと省スペースで、第4世代Intel Xeon Scalableプロセッサを最大2基搭載するフラグシップ機の機能をミドルタワーサイズに収めている。縦置き、ラックマウントなど柔軟な設置に対応する。なお、プロセッサについてはキャッシュ容量37.5MB/最大動作周波数2.50GHzの「Intel Xeon Gold 6426Y」と、同26.25MB/2.70GHzの「Intel Xeon Silver 4410T」から選択できる。
メモリはECC対応DDR5メモリを最大128GBまで搭載できる。Xeon GoldはDDR5-4800、Xeon SilverはDDR5-4400となる。ストレージであるSSDのインタフェースは、SATA Gen 3.0と比べて約3倍の高速データアクセスが可能なNVMe-U.2を搭載。PCI Express Gen5をサポートしているので、最新のGPUボードなど高性能拡張カードを利用できる。
セキュリティ対策では、インテルCPUと独立して動作する独自開発のRAS(信頼性、可用性、保守性)コントローラー「EmbedWare RASコントローラ」を標準搭載している。これにより、NIST(米国国立標準技術研究所)のサイバーセキュリティフレームワークのうちNIST SP800-193準拠のBIOS改ざん保護、検知、自動回復の機能を実現している。OS上で動作するシステム監視ツールの「EmbedWare/SysMon」も標準搭載しており、RASコントローラーと連携して、稼働状況の可視化と迅速なトラブル対応を行えるとしている。
なお、AR8300 モデル320Pの従来機に当たる「AR8300 モデル320L」は、Xeon Scalableプロセッサとして第1世代に当たる「Skylake-SP」を搭載していた。メモリはDDR4-2666/DDR4-2000で、PCI ExpressもGen3までしか対応していなかった。
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